イライラホルモンの正体は?黄体ホルモンと時期別の対処法

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イライラホルモンは医学用語ではなく、多くの場合、排卵後に増える黄体ホルモン(プロゲステロン)を指す通称です。ただし、イライラの起こりやすさを分けているのはホルモンの量そのものより、その変化への反応の違いだと考えられています。

PMS(月経前症候群)のある女性とない女性に同じ女性ホルモンを補った米国の比較試験では、気分の症状が出たのはPMSのある女性だけでした。同じ構図は出産後や更年期でも報告されており、関わるホルモンは時期によって入れ替わります。

時期ごとのホルモンの動き、自分で見当をつける記録と自己採点の方法、薬の使い道の違い、受診の目安を順に取り上げます。

 

イライラホルモンの正体は黄体ホルモンだけではない

イライラホルモンは多くは黄体ホルモンを指す通称ですが、イライラの起こりやすさを分けているのは量より変化への反応の違いと考えられています。関わるホルモンも、生理前・産後・更年期と時期によって入れ替わります。

この章のポイント
・イライラホルモンは主に黄体ホルモンを指す通称
・乱れは量より変化への反応の違いと考えられる
・関わるホルモンは時期によって入れ替わる

黄体ホルモンが「イライラホルモン」と呼ばれる理由

黄体ホルモンが名指しされるのは、生理前のイライラが、黄体ホルモンの多い時期に重なって現れるためです。排卵後、卵巣に残った黄体から黄体ホルモンが分泌され、卵胞ホルモン(エストロゲン)とともに増えたのち、妊娠が成立しなければ生理の前に両方が下がります。この排卵後から生理までが黄体期で、PMSはこの時期の女性ホルモンの急な変動が原因のひとつと考えられています。

ただし、黄体ホルモンを単純な悪者とみなすのは無理があります。黄体ホルモンからは、脳内で神経の興奮を静める方向に働く物質もつくられるとされているためです。「黄体ホルモンが増えるから」「エストロゲンが減るから」など食い違う説明も見られますが、いずれもヒトで一本道の因果として示されたものではなく、PMSの仕組みはまだ解明の途中です。

乱れは量より変化への反応の違いと考えられる

「ホルモンバランスの乱れ」の正体は、量の異常というより、同じ変化に対する反応の違いだと考えられています。米国国立精神衛生研究所の比較試験では、PMSの女性20人に卵巣の働きを一時的に止める薬を使い、症状がはっきり軽くなった10人にエストロゲンか黄体ホルモンを補うと、症状が再び現れました。一方、PMSのない女性15人では、同じ補充をしても気分の変化は起きませんでした。

研究者は、PMSの症状は正常なホルモン変化に対する異常な反応だと結論づけています。同じホルモンの上下に敏感に反応する人がいるということで、イライラは気のせいではなく、体の仕組みとして起こりうるものです。ただし、少人数で、薬でホルモンを操作した米国の実験です。同じ研究グループは、出産後と更年期でも同じ構図の試験を報告しています。

主役のホルモンは時期によって入れ替わる

どのホルモンの動きがイライラと重なるかは、ライフステージによって変わります。時期ごとの目安を表に並べました。

時期 主に関わるホルモンの動き 揺れやすい時期 相談先の目安
思春期 周期のリズムが整う途中 生理前の1週間前後 婦人科・小児科
生理前 排卵後の黄体ホルモンの増減 排卵後〜生理開始 婦人科
産後 妊娠中のホルモンの急低下 産後数日〜数か月 産婦健診・産婦人科
卒乳後 生理の再開 生理再開後の生理前 婦人科
流産後 妊娠を支えたホルモンの低下 流産後の数か月 産婦人科・相談窓口
更年期 エストロゲンの揺らぎと低下 40代後半〜50代 婦人科
男性 テストステロンの低下 40代以降 泌尿器科など

どの時期でも、ストレスで分泌されるノルアドレナリンやコルチゾールが上乗せされ、イライラを強めることがあります。まずは手帳やアプリを見返し、イライラが強かった日が生理の何日前か、出産や卒乳の後だったかを振り返ってみてください。

 

生理前のイライラは排卵後から生理開始まで

前章の表のうち、最も多くの人が当てはまるのが生理前の揺れです。生理前のイライラは排卵後の黄体期に出て、特に生理前の1週間に強まり、生理が始まると数日で軽くなります。

この章のポイント
・症状は生理前の1週間に強まり生理後に引く
・質問票で中等度以上のPMSは成人女性の5.3%
・2〜3周期の記録で生理前の揺れかを見分ける

イライラが強まりやすいのは生理前の1週間

生理前のイライラは、生理が始まる前の最後の1週間に目立ち、生理開始後数日で和らぎ始め、生理後の1週間には最小になるか消えます。これは、気分の症状が強く生活に大きな支障が出る月経前不快気分障害(PMDD)を米国精神医学会の診断基準に加える際に、専門家の作業部会が示した経過です。同じメンバーが毎日の記録を解析すると、心の症状で最も目立ったのは気分の変わりやすさとイライラ・怒りでした。提言をまとめた専門家の一部は製薬企業との利益関係を申告しています。

国内では、子宮がん検診を受けた20〜49歳の女性1,187人を質問票で調べた2006年発表の研究で、何らかの月経前の症状がある人は95%にのぼる一方、中等度以上のPMSは5.3%、PMDDは1.2%でした。中等度以上のPMSとPMDDに当たる人のうち、治療を受けていたのは5.3%にすぎません。いずれも質問票による判定で、医師の診断ではありません。

思春期のPMSは学校を休む原因にもなる

思春期でも、生理前のイライラが学校生活に響くことがあります。仙台市の月経周期が規則的な女子高校生901人を成人と同じ質問票で調べた研究では、中等度以上のPMSに当たる生徒が9.9%、PMDDが3.1%で、11.9%、約9人に1人が月1日以上、生理前の症状で学校を休んでいました。欠席には睡眠の乱れや体の症状などが関連していました。成人より割合が高く見えますが、調査年も地域も異なるため、思春期のほうが重いとは言い切れません。

薬には年齢の制限もあり、市販のチェストベリー製剤は18歳未満は服用できず、低用量ピルは骨の成長が早く止まるおそれから、成長が終わっていない可能性がある人には使えません。抗うつ薬の一種のSSRIは、24歳以下で自殺を考えたり試みたりするリスクが高まるとの報告があります。思春期はまず記録と生活の調整から始め、つらい場合は婦人科の思春期外来や小児科に相談し、周囲も「反抗期」と決めつけないことが助けになります。

2〜3周期の記録でPMSかを見分ける

生理前のイライラかどうかは、その日ごとの記録で見分けます。先述の作業部会の提言でも、症状のパターンと重さを毎日の記録で確かめることが求められ、記録はほかの病気が生理前に悪化しているだけの場合の見分けや、治療後の比較の基準にもなるとされています。一例として、2〜3周期を目安に次の手順で記録します。

  1. 毎日同じ時間(就寝前など)に、その日のイライラの強さを0〜10の数字で1つ書き留める
  2. 同じ記録に、生理が始まった日と終わった日を書き加える
  3. 2〜3周期分たまったら数字を並べ、高い日が生理前の1週間前後に集まり、生理開始から数日で下がり、生理後の1週間は低いかを見る
  4. このパターンが周期ごとにくり返せば生理前の揺れの可能性が高く、周期と関係なく高い日が続くならほかの原因を考える

記録は自己診断ではなく、相談の場で医師に渡す情報として役立ちます。今夜から、就寝前のイライラの強さを0〜10で書き留めてみてください。

 

産後・卒乳・流産後はホルモンが急に動き気分も揺れやすい

生理前の揺れが毎月くり返す変化だとすれば、出産・卒乳・流産は、妊娠や授乳を支えていたホルモンが短期間で大きく動く出来事で、その後に気分が揺れることがあります。多くは時間とともに落ち着きますが、続く場合は治療や支援の対象になります。

この章のポイント
・産後2週間を過ぎても続く不調は相談の目安
・卒乳後は生理の再開で生理前の揺れが戻りうる
・流産後の不安や落ち込みは数か月続くことも

産後2週間を過ぎても続くなら相談する

出産後のイライラや落ち込みが2週間を過ぎてもほぼ毎日続くなら、一時的な揺れではない可能性を考えて相談します。出産で胎盤が出ると、妊娠中に高かったエストロゲンと黄体ホルモンは急に下がります。先述の研究グループが薬でこの急低下を再現した試験では、産後うつの経験がある女性8人中5人に明らかな気分の症状が出て、経験のない8人には出ませんでした。生理前の試験と同じく敏感さの違いを示す結果ですが、非常に少人数の試験です。

産後数日から始まる一時的な気分の揺れはマタニティーブルーズと呼ばれ、多くは2週間ほどで落ち着くとされています。一方、国内の研究をまとめた解析では、出産1か月時点で産後うつに当たる人は14.3%で、初めての出産の人に多い傾向でした。質問票による判定で、著者の一部は製薬企業との利益関係を申告しています。

眠れない・食べられない日が続く、自分を責める気持ちが強いといった場合も、産後の健診や産婦人科、自治体の窓口が相談先です。産後2週間・1か月などの産婦健康診査では心の状態も確かめられ、その費用を市町村が2回分助成する仕組みがあります。実施の有無や内容は自治体ごとに異なります。

卒乳後は生理の再開とともに揺れが戻ることがある

卒乳して生理が戻ると、妊娠前にあった生理前のイライラが再び出ることがあります。授乳中は排卵が抑えられやすく、卒乳によって排卵と黄体期が戻るためです。ただし、卒乳とホルモン、気分の関係を直接調べた研究はほとんどありません。

卒乳は、授乳中は使えなかった市販のチェストベリー製剤や低用量ピルが選択肢に戻る時期でもあります。生理が戻ったら前章の記録を再開しておくと、相談の際に役立ちます。

流産後の不調は数か月続くこともある

流産後の不安や落ち込み、イライラは、数か月続くことがあります。妊娠を支えていたホルモンは流産後に短期間で下がりますが、不調には妊娠を失ったこと自体への心の反応も大きく関わると考えられます。英国の3病院で、妊娠初期に流産などを経験した女性をその後9か月にわたって追跡した研究では、1か月後に中等度以上の不安が24%、抑うつが11%、心的外傷後ストレス(つらい体験の場面が突然よみがえる、思い出させるものを避けるといった状態が続くこと)の基準に当たる人が29%でした。

流産に限ると、9か月後も不安17%、抑うつ5%、心的外傷後ストレス16%が残っており、比較のため妊娠中に1回だけ調べた女性では不安13%、抑うつ2%でした。いずれも質問票による判定で、途中で回答者が減っている点には注意が必要です。こうした反応は弱さではなく多くの人に起こるもので、自分を責める必要はなく、つらさが続くときは受診した産婦人科や自治体の窓口、強い場合は精神科・心療内科に相談できます。

 

更年期と男性のイライラはホルモン低下の時期に出やすい

産後が急な低下だとすれば、更年期は数年かけてホルモンが揺らぎながら下がる時期で、その変化に敏感な人でイライラが強く出やすいと考えられています。男性も40代以降に似た症状が出ることがありますが、男女とも受診していない人が多いのが現状です。

この章のポイント
・更年期症状にはイライラなど心の症状も含む
・10項目の自己採点で受診の目安がわかる
・男性も40代以降に似た症状が出ることがある

更年期はエストロゲンの変化に敏感な人が揺れやすい

更年期のイライラは、エストロゲンが下がること自体より、その変化への反応に個人差があると考えられています。厚生労働省の意識調査は、ほてりなどの体の症状と、気分の落ち込みやイライラ、不眠などの心の症状のうち、ほかの病気によらないものを更年期症状とし、生活に支障が出る状態を更年期障害としています。同じ調査で更年期障害の可能性があると考えている女性は40代28.3%、50代38.3%でしたが、診断を受けた人は3.6%、9.1%でした。

先述の研究グループは、更年期のうつがホルモン療法で改善した経験のある女性26人と、うつの経験のない女性30人を対象に、いずれも閉経後で症状がない時期にエストロゲンを3週間補充したのち、くじ引きで一部を偽薬(有効成分を含まない薬)に切り替えました。抑うつ症状が増えたのは、偽薬に切り替えた経験のある女性だけで、偽薬の期間のほてりの強さと血中のエストロゲン濃度は両群で同程度でした。3つの試験はいずれも少人数で同じグループによるもので、証明されたと言える段階ではありません。

研究者は、更年期のうつがホルモン療法で改善した経験のある女性では、ホルモン療法をやめるときに再発に注意すべきだとしています。ホルモン補充療法中の人は、自己判断でやめず医師と相談してください。

10項目の自己採点で受診の目安を知る

厚生労働省の調査資料には、簡略更年期指数(SMI)という10項目の自己採点表があります。各項目の強さを強・中・弱・無から選び(症状が1つでも強ければ強、無は0点)、次の配点で合計します。

  1. 顔がほてる:強10・中6・弱3
  2. 汗をかきやすい:強10・中6・弱3
  3. 腰や手足が冷えやすい:強14・中9・弱5
  4. 息切れ、動悸がする:強12・中8・弱4
  5. 寝つきが悪い、または眠りが浅い:強14・中9・弱5
  6. 怒りやすく、すぐイライラする:強12・中8・弱4
  7. くよくよしたり、憂うつになることがある:強7・中5・弱3
  8. 頭痛、めまい、吐き気がよくある:強7・中5・弱3
  9. 疲れやすい:強7・中4・弱2
  10. 肩こり、腰痛、手足の痛みがある:強7・中5・弱3

合計26〜50点は食事や運動に注意する目安、51〜65点は医師の診察や生活指導、薬による治療を受けたほうがよい目安、66〜80点は半年以上の計画的な治療、81点以上は精密検査が必要な目安とされます。点数の高さそのものが更年期障害を示すわけではないと資料は注記しており、同じ調査で51点以上だった女性は40代17.7%、50代20.0%でした。

男性もテストステロン低下でイライラが出ることがある

男性も40代以降、男性ホルモンの一種であるテストステロンの低下で、イライラなど更年期に似た症状が出ることがあります。厚生労働省の資料は、おおむね40歳以降のテストステロンの減少で女性と似た症状を示すものを男性の更年期障害としていますが、病態はまだ十分に解明されていません。同じ調査で可能性があると考えている男性は40代8.2%、50代14.3%、診断を受けた人は1.5%、1.7%で、症状があって未受診の人は86.6%、86.5%と、女性の81.7%、78.9%より多い結果でした。

同じ資料の男性更年期障害質問票(AMS)には「いらいらする、不機嫌になる」が含まれ、37点以上が中等度以上の目安で、相談先は泌尿器科などです。また、出産後の環境の変化で父親が産後うつになることもあり、こども家庭庁は父親への支援を市町村の事業として位置づけています。

自己採点の点数は日付とともに残し、数か月後に採点し直して比べてみてください。

 

イライラホルモンへの対処法と薬の選び方

自分の揺れの時期に見当がついたら、次は対処です。土台は睡眠と食事の間隔を整えることで、薬は種類ごとに国が認めた使い道が異なり、低用量ピルとSSRIの使い道にPMSは含まれていません。

この章のポイント
・薬より先に睡眠と食事の間隔を整える
・低用量ピルとSSRIの使い道にPMSは含まれない
・周期と無関係に続くなら別の病気も考える

薬より先に睡眠と食事の間隔を整える

イライラへの対処は、薬より先に睡眠と食事の間隔から整えるのが基本です。睡眠を削る実験研究64件をまとめた解析では、睡眠不足で不快な気分が中程度に強まり、前向きな気分は大きく下がったと報告されています。イライラそのものを測った結果ではありませんが、揺れやすい時期に睡眠を削らない理由になります。

記録で揺れやすい週が予測できたら、大事な予定や話し合いを詰め込まない、就寝時刻を守る、食事の間隔を空けすぎない、カフェインやお酒で睡眠を削らないといった調整ができます。家族に「この週は揺れやすい」と先に伝えておくのも、衝突を減らす一案です。

市販薬と処方薬は承認された用途が違う

市販薬と処方薬は、種類ごとに国が認めた使い道が異なります。承認とは国が有効性と安全性を審査して製造販売を認めることで、使い道や使ってはいけない人(禁忌)は添付文書(薬の公式な説明書)に記載されています。

市販のチェストベリー製剤

チェストベリー乾燥エキスを成分とする市販薬は、使い道に「月経前の次の諸症状(月経前症候群)の緩和:乳房のはり、頭痛、イライラ、怒りっぽい、気分変調」を含む一般用医薬品です。18歳以上が1日1回服用します。授乳中の人とチェストベリーでアレルギーを起こしたことがある人は服用できず、妊婦が服用する薬でもありません。

治療中の人、うつ病と診断された人、月経不順の人などは、服用前に医師や薬剤師への相談が必要です。副作用には発疹、かゆみ、吐き気、下痢、月経の異常があり、1か月ほどで改善しなければ中止して相談し、3か月を超えて続けるときは定期的に医師に相談します。

処方薬の低用量ピル・SSRI・漢方薬

低用量ピル(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤)の承認された用途は月経困難症などで、PMSを用途とする製剤はありません。最も重い副作用は、血管の中に血の塊ができて詰まる血栓症で、まれに命に関わることがあります。血栓症の既往、35歳以上で1日15本以上の喫煙、前兆(目の前にギザギザした光が見えるなど)を伴う片頭痛、骨の成長が終わっていない可能性などがあると使えず、授乳中も使いません。気分の落ち込みや情緒の不安定も副作用に挙がっています。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の承認された用途はうつ病やパニック障害などで、PMSやPMDDへの使用は承認された用途の範囲外です。海外の比較試験34件の解析では偽薬より月経前の症状を減らす可能性が高いとされましたが、対象試験の68%は製薬企業の資金提供によるものでした。吐き気や無力感、眠気が増え、24歳以下では自殺を考えたり試みたりするリスクが高まるとの報告があり、服用中に不安や焦り、イライラが出ることもあります。パーキンソン病の治療に使われるMAO阻害薬を服用中か、やめてから14日以内の人や、ピモジド(統合失調症などの薬)を服用中の人には使えません。自己判断で急にやめると、不安や焦り、めまい、吐き気などが出ることがあるため、やめるときも医師と相談しながら少しずつ減らします。

加味逍遙散は、精神不安などがある体質虚弱な女性の冷え症、月経不順、更年期障害、血の道症(女性ホルモンの変動に伴う心身の不調)などを用途とする漢方薬で、用途にPMSという語は含まれません。含まれる甘草(カンゾウ)によるむくみや血圧上昇のほか、肝臓の働きが悪くなることがあり、同じく含まれる山梔子(サンシシ)を長く(多くは5年以上)飲み続けると、腸の静脈が硬くなる病気が起こるおそれがあります。妊婦には使わないことが望ましいとされています。表に並べると次のとおりです。

薬 入手方法 国内で承認された用途 PMSとの関係 主な注意
チェストベリー製剤 薬局・ドラッグストア PMSのイライラ・頭痛など 用途に含む 18歳未満・授乳中は不可
低用量ピル 医師の処方 月経困難症など 用途に含まない 血栓症・成長期は不可
SSRI 医師の処方 うつ病・パニック障害など 承認された用途の範囲外 24歳以下は慎重に・一部の薬と併用不可
加味逍遙散 処方(市販品もある) 更年期障害・血の道症など PMSの語は含まない むくみ・肝機能・長期服用に注意

どの薬も自己判断で始めず、使えない人の条件を医師や薬剤師に確かめてください。承認された用途の範囲外の使用で起きた副作用は医薬品副作用被害救済制度の対象外となることがあり、処方薬の個人輸入や譲り受けも避けてください。

受診の目安と相談前に準備すること

次のような場合は、医療機関への相談の目安です。

  • 生理前の揺れで生活や人間関係に支障がある
  • 産後2週間を過ぎても不調がほぼ毎日続く
  • 周期と関係なく2週間以上ほぼ毎日続く
  • 簡略更年期指数の合計が51点以上
  • 死にたい気持ちがある(すぐに医療機関へ。厚生労働省の相談サイト「まもろうよ こころ」から、電話やSNSの相談窓口も探せます)

周期や出来事と関係なく続くイライラには、うつ病や不安症、甲状腺の病気などが隠れていることがあり、その場合は精神科・心療内科や内科での検査と治療が中心になります。相談の際は次のものをそろえておきます。

  • 2〜3周期分の記録と生理日
  • 自己採点の点数
  • 服用中の薬・サプリメント・漢方薬の名前
  • 喫煙の本数、片頭痛の前兆、血栓症の既往と家族歴
  • 妊娠・授乳の有無と今後の予定

低用量ピルの服用中に、足の急な痛みやむくみ、突然の息切れ、胸の痛み、激しい頭痛、手足に力が入らない、ろれつが回らない、急に見えにくくなるといった血栓症を疑う症状が出たら、すぐに服用をやめて救急医療機関を受診してください。SSRIの服用中に不安や焦り、イライラが強まったときは、自己判断で急にやめず、すぐに処方した医師に相談してください。

 

まとめ

イライラホルモンは多くは黄体ホルモンを指す通称で、鍵は量より変化への反応の違いと考えられています。自分の揺れが生理前か、産後か、更年期かは、2〜3周期の毎日の記録や10項目の自己採点で見当がつきます。

今日からできるのは、イライラの強さを0〜10の数字で書き留めることと、睡眠時間と食事の間隔を守ることです。薬は種類ごとに使い道が異なり、PMSのイライラを使い道に含むのは市販のチェストベリー製剤で、低用量ピルやSSRIには含まれません。妊娠中・授乳中の人、服薬中の人、18歳未満の人は、自己判断で薬を使わないでください。

PMS、産後うつ、更年期障害の診断と治療は、婦人科や精神科などが担います。そのうえで、ホルモンの揺らぎに伴う肌や体調の変化も含めて相談したい場合は、記録を持ってカウンセリングでご相談いただけます。

アラジン美容クリニックでは、美容医療および美容皮膚における長年の経験や博士号を持つ知見より、出逢う皆様のお一人ひとりに最適な施術を提供する「オンリーワン」を目指すカウンセリングを実施し、余計な情報や提案をせず、「ウソのない」美容医療で、必要な施術のみをご提案しております。

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参考文献・出典

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  • プレフェミン 添付文書(ゼリア新薬工業株式会社)
  • ヤーズ配合錠 添付文書(バイエル薬品株式会社)
  • ジェイゾロフト錠 添付文書(ヴィアトリス製薬合同会社)
  • ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用)添付文書(株式会社ツムラ)

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