乾燥肌を改善する基本は、保湿剤を十分な量で1日2回塗り続け、洗いすぎや乾いた空気といった乾燥を招く原因を減らすことです。日本皮膚科学会がまとめた診療の手引きは、加齢による乾燥に保湿剤を塗ることを最も強い推奨度で勧めています。
生まれつき乾きやすい体質の人も、保湿で症状を抑えることが期待できます。一方で、食べ物やサプリメントは不足を補う範囲のもので、乾燥肌を治すという根拠は弱いのが現状です。
赤みや湿疹、夜にかゆくて目が覚めるほどの症状があれば、化粧品で様子を見る段階を過ぎた治療の対象です。以下では、乾燥の原因と体質、保湿剤の量・回数・タイミング、洗い方と湿度、食事とサプリメントの根拠、小ジワと美容医療、受診の目安を順に取り上げます。

国立熊本大学医学部を卒業。国内大手美容クリニックなどで院長を歴任し、2023年アラジン美容クリニックを開院。長年の実績とエイジングケア研究で博士号取得の美容医療のプロ。「嘘のない美容医療の実現へ」をモットーに、患者様とともに「オンリーワン」を目指す。
乾燥肌の原因は年齢・環境・病気の3つで体質も関わる
乾燥肌は医学的には皮脂欠乏症、あるいは乾皮症と呼ばれ、皮膚のいちばん外側にある角層が水分を保つ力と、表面を覆う皮脂の膜が弱った状態を指します。原因は年齢による変化、乾いた空気や洗いすぎといった環境、皮膚や全身の病気とその治療の3つに分けられ、そこに生まれつきの体質が重なります。
この章のポイント
・原因は年齢・環境・病気や治療の3つ
・保湿に関わる遺伝子変異は日本人の約1割との報告
・体質でも保湿は有効だが中止で再発しうる
角層の水分と皮脂の膜が減ると肌は乾く
肌は、角層の中で水分を抱える仕組みと、表面を覆う皮脂の膜の2つで乾燥から守られており、どちらかが弱るとつっぱりや粉ふきとして表れます。
角層の細胞のすき間はセラミドなどの細胞間脂質で埋められ、細胞の中には天然保湿因子と呼ばれる水分を抱える成分があり、その外側を皮脂と汗の膜が覆っています。皮脂の量は手足で少なく、男性より女性で少なく、年齢とともに減っていきます。
学会の手引きが挙げる環境の要因は、冬の低い湿度・紫外線・過度の入浴・脱脂力の強い洗浄料やこすり洗いです。乾燥が出やすいのは両すねで、背中や腕にもみられ、高齢者では高い頻度で起こります。皮脂や汗の多い顔は皮脂欠乏症としての発症は少ないものの、洗いすぎや冬の乾燥の影響は受けます。
遺伝的に乾きやすい体質の人もいる
乾燥肌には体質も関わり、角層の保湿に関わる遺伝子の変異をもつ人が日本人にも一定の割合でいます。ただし、体質だから保湿が効かないということはありません。
フィラグリンは、角層の天然保湿因子のもとになるたんぱく質です。日本人820人で、日本人に特有のフィラグリン遺伝子の変異10種類をすべて調べた研究では、11.1%、約9人に1人が変異をもっていたと報告されています。この変異は、生まれつき皮膚が乾いて鱗のようになる尋常性魚鱗癬の原因となり、アトピー性皮膚炎のなりやすさにも関わります。
変異があっても必ず乾燥肌になるわけではなく、乾きやすいと感じる人ほど保湿を習慣にするのが現実的です。学会の手引きは、加齢による乾燥にもアトピー性皮膚炎に伴う乾燥にも、保湿剤を塗ることを強く勧めています。ただし保湿は症状を抑える対症療法で、やめたり季節が変わったりすると再発しやすく、食事や生活習慣で遺伝的な体質そのものが変わるわけでもありません。
病気や薬が原因の乾燥もある
乾燥肌の中には病気や治療薬が原因のものもあり、その場合は保湿に加えて原因への対応が必要です。
学会の手引きは、乾燥を起こしうる病気として、アトピー性皮膚炎や、赤く盛り上がった部分に白いふけのようなものが付く乾癬、魚鱗癬などの皮膚の病気を挙げています。全身の病気としては、糖尿病、透析を含む慢性腎臓病、肝臓の病気のほか、涙や唾液が出にくくなるシェーグレン症候群、足の血管が狭くなって血流が悪くなる閉塞性動脈硬化症が挙げられています。放射線治療や、がん治療に使われる分子標的薬、ビタミンAに似た働きをもつレチノイドという薬による皮膚症状も含まれます。
こうした乾燥は塗るケアだけでは追いつかないことがあるため、治療中の人は自己判断で薬をやめず、乾燥が気になることを主治医に伝えてください。
改善の基本は保湿剤を十分な量で1日2回
原因と体質の見当がついたら、次は最も根拠の強い保湿剤の使い方です。学会の手引きは加齢による乾燥への保湿剤を強く勧める一方、どの保湿剤が優れているかの根拠はないとしており、種類より量・回数・続けやすさが改善を左右します。
この章のポイント
・どの保湿剤が優れるかを比べた根拠はない
・1回量は人差し指の先から第一関節まで
・1日2回塗り、入浴後は直後でなくてよい
保湿剤は水分を抱える型と膜で守る型がある
保湿剤は、水分を抱え込んで角層の水分を直接増やす型と、皮膚を覆って水分の蒸発を防ぐ型に分かれ、角層の水分を増やす働きは前者のほうが強いとされています。
水分を抱える型の代表がヘパリン類似物質と尿素、膜で守る型の代表がワセリンです。市販の医薬部外品や化粧品にはセラミドなど医療用と異なる成分を配合したものもあり、軽い一時的な乾燥なら市販品で対処してよいと考えられています。主な成分を並べると次のとおりです。
| 成分 | 主な働き | 向いている場面 | 注意すること |
|---|---|---|---|
| ヘパリン類似物質 | 水分を抱えて角層を潤す | 体の広い範囲の乾燥 | 出血しやすい病気では不可 |
| 尿素 | 水分を抱え角質を柔らかく | かかと・すねのざらつき | 傷やただれには塗らない、しみることがある |
| ワセリン | 膜で水分の蒸発を防ぐ | 刺激を避けたい部位 | ベタつき・かぶれ |
| セラミド配合の化粧品 | 角層の脂質に近い成分 | 使用感を重視する顔など | 製品ごとに配合が異なり、かぶれることもある |
どの成分が優れているかを比べた根拠がないため、学会の手引きは、使用感に満足して安心して続けられる製品を選ぶよう勧めています。なお、この手引きの作成委員12名のうち10名は、医療用のヘパリン類似物質の保湿剤を製造販売するマルホ株式会社から、講演料や寄附金などを受けたと申告しています。
成分ごとに使えない人と副作用
使えない人と副作用は成分ごとに異なります。医療用の保湿剤の添付文書(薬の公式な説明書)では、ヘパリン類似物質は血友病・血小板減少症・紫斑病など出血しやすい病気の人には使えず、傷やただれた面には塗らないこととされ、副作用に皮膚炎・かゆみ・赤みなどがあります。
尿素は目などの粘膜や、傷・ただれた面には直接塗らないこととされ、塗った部分に痛みやほてりなどの刺激が出ることがあります。ワセリンを含め保湿剤でかぶれることもあるため、市販品は製品の説明書に従い、妊娠中の医療用保湿剤の使用は医師が判断します。
1回量は人差し指の先から第一関節まで
学会の手引きが示す1回量の目安は、チューブから人差し指の先端から第一関節まで出した量で、これを大人の手のひら2枚分に塗ります。この量をFTU(フィンガーチップユニット)と呼び、約0.5gに当たります。
口径5mmのチューブが前提で、ローションなら手のひらに1円玉大、約0.6gが同程度です。部位ごとの目安は片腕3FTU、片脚6FTU、背中7FTU、足首から先の片足2FTUで、顔と首は、成人の患者30人で塗り薬の必要量を測った英国の研究で約2.5FTUと報告されています。
塗った後に少しテカテカする程度が目安です。量と効果の関係は研究によって結果が分かれており、学会の手引きは、ヘパリン類似物質を皮膚1cm四方あたり3mg塗ったほうが1mgより角層の水分量が高かったという報告を挙げています。一方、人工的に乾燥させた腕の皮膚でヘパリン類似物質を試した国内研究では、1日1回なら量を6倍まで変えても保湿の指標に差は出ず、差が出たのは回数を変えたときでした。目安の量を守ったうえで、1日2回続けることが大切です。
1日2回塗り、入浴後は直後でなくてよい
保湿剤は1日1回より2回塗るほうが効果を期待でき、入浴後に塗る場合も直後である必要はありません。
先述の人工的に乾燥させた皮膚での国内研究では、ヘパリン類似物質を14日間、1日2回塗ったほうが1日1回よりほとんどの測定時点で保湿の指標が偶然では説明しにくい差で高くなりました。実際の乾燥肌での試験ではないものの、学会の手引きもこの結果を踏まえ、2回のほうが保湿効果を期待できるとしています。
入浴後すぐに塗らないと効果がないという説明も見かけますが、健康な大人8人の小さな国内研究では、40℃・20分の入浴の1分後と1時間後に3種類の保湿剤を2週間塗り比べても、角層の水分量に差はありませんでした。手引きも、直後でなくてよいので入浴後に必ず塗るよう勧めています。
洗い方と部屋の湿度で乾燥の原因を減らす
保湿剤で水分を補っても、洗いすぎや熱い湯、乾いた空気が続けば乾燥は戻ってしまいます。原因を減らすことは保湿と対になるもう一つの柱で、湯温や湿度の公的な目安も、本来の目的を知ったうえで使えば手がかりになります。
この章のポイント
・洗浄料は泡立てて手のひらでやさしく洗う
・湯は41度以下・10分までが安全面の目安
・冬の室内は湿度計で40%以上を目安にする
洗浄料は泡立てて手のひらで洗う
体は洗浄料をよく泡立て、泡を手のひらに取ってやさしく洗うのが基本で、ナイロンタオルやブラシでこする洗い方は避けます。
石鹸や洗浄剤の主成分は、油汚れを水になじませて落とす界面活性剤で、汚れと一緒に皮脂や角層の保湿成分も落とすため、使いすぎやすすぎ残しは乾燥を悪化させるおそれがあります。ナイロンタオルやブラシでこすると角層からの水分の蒸発も増えます。学会の手引きは、すねなど乾燥の強い部位では洗浄料を最小限にするよう勧めています。
顔も、洗浄力の強い洗顔料で何度も洗うとつっぱりや粉ふきにつながります。一例として、皮脂の多い部分から泡をのせ、乾燥しやすい頬や口元は泡をのせる時間を短くすると洗いすぎを防げます。
熱い湯と長湯を避けて入浴する
入浴では、熱い湯と長湯を避けることが乾燥対策の基本です。学会の手引きは、過度の入浴を乾燥の環境要因の1つに挙げています。
肌のために何度の湯がよいかを示した公的な基準はなく、インターネット上に見られる湯温の数字も、出典が示されていないものが大半です。参考になるのは、入浴中の事故を防ぐ目安として消費者庁が示す、湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までという数字で、乾燥と安全の両面から、この範囲に収めると安心です。
冬は脱衣所や浴室を前もって暖め、食後すぐや飲酒後の入浴を避けることも同じ資料で勧められており、高齢の家族がいる家庭では事故の予防にもつながります。入浴後の保湿は直後でなくてもよいので、その日のうちに必ず塗ることを優先します。
冬の室内は湿度40%を目安に加湿する
冬は暖房で室内の湿度が下がるため、学会の手引きは加湿器などの対策も必要としており、湿度計で40%を下回っていないかを確かめる方法が使えます。
肌にとって最適な湿度を示した基準はなく、目安になるのは、多くの人が利用する一定規模以上の建物について国が定めた衛生管理の基準にある相対湿度40%以上70%以下です。肌のために決められた値ではありませんが、冬の室内の乾き具合を知る手がかりになります。
手引きは衣類と紫外線にも触れており、羊毛などごわごわした素材は避け、日光で水分の蒸発が増えるため、紫外線の強い5〜8月、特に10〜14時頃は帽子・日陰・日焼け止めで日差しを避けるよう勧めています。見直す点は次の5つです。
- 泡立てた洗浄料での手のひら洗い
- 41度以下・10分までの入浴
- 湿度40%以上を目安にした冬の加湿
- 羊毛やごわごわした素材の衣類の回避
- 5〜8月の10〜14時頃の紫外線対策
寝室と日中に過ごす部屋に湿度計を置き、朝と夜の値を見比べて、40%を下回る時間帯がないかを測ってみてください。
食べ物とサプリで補えるのは不足の分まで
外側のケアの次に気になるのが、体の内側からのケアです。食事には肌の材料を不足させない意味がありますが、特定の食べ物やサプリメントで乾燥肌が治るという根拠は弱く、とりすぎや薬との組み合わせで害が出るものもあります。
この章のポイント
・推奨量は不足を防ぐ量で多いほど潤うわけではない
・水を多く飲む効果は小さく根拠も弱い
・企業資金のない研究でコラーゲンの効果はみられず
根拠と注意点を並べると次のとおりです。
| 方法 | 分かっていること | 根拠の種類 | 注意すること |
|---|---|---|---|
| ビタミンC・リノール酸の多い食事 | 乾燥やしわが少ない傾向 | 1回の調査での関連 | 食べて治る因果は不明 |
| 水を多めに飲む | 飲水が少ない人でわずかに潤う | 6研究の分析で根拠は弱い | 持病の水分制限を優先 |
| コラーゲンのサプリ | 企業資金のない研究で効果なし | 23試験の統合分析 | 過大な期待は禁物 |
| 機能性表示食品 | 届出の根拠を誰でも閲覧可 | 国の審査はなし | 体調変化で中止し相談 |
| ビタミンAのサプリ | 不足を補う範囲のもの | 国の摂取基準 | 上限量と薬の併用に注意 |
どの方法にも乾燥肌を治す根拠はなく、食事は不足を防ぐ範囲で整えるのが現実的です。
食事はたんぱく質とビタミンの不足を防ぐ
食事で意識したいのは、皮膚の材料になる栄養素を不足させないことです。国の食事摂取基準では、推奨量は18歳以上の女性のたんぱく質が1日50g、30〜49歳女性のビタミンAが700μgRAE、成人のビタミンCが100mgです。
μgRAEはビタミンAの量を表す単位で、推奨量はほとんどの人が不足しない量として決められたものであり、多くとるほど肌がうるおうという意味ではありません。肉・魚・卵・大豆製品、野菜や果物、植物油をまんべんなくとることが基本です。
1970年代の米国の全国調査のデータから40〜74歳の女性4,025人を解析した研究では、ビタミンCの摂取が多い人ほどしわのある見た目や加齢による乾燥が、植物油に多い脂肪酸であるリノール酸の摂取が多い人ほど加齢による乾燥がみられにくいという関連が報告されました。ただし1回の調査での関連で因果関係は示されておらず、解析したのは化粧品・日用品メーカーの研究者です。
水を多く飲む効果は小さく根拠も弱い
水を多く飲んで乾燥肌が改善するという根拠は弱く、乾燥肌のためにどれだけ飲めばよいかについて確立した目安もありません。
健康な大人の水分摂取と皮膚の水分量の研究を集めた分析では、条件を満たした研究は6件しかなく、根拠は量と質の両面で弱いと評価されました。普段あまり水を飲まない人で角層の水分量がわずかに増えたものの、乾燥肌の症状が減るかどうかは今後の研究を待つ段階です。1日2リットルといった目安も乾燥肌との関係で裏づけられた量ではなく、脱水を避ける程度の水分補給で十分です。腎臓や心臓の病気で水分を制限されている人は、主治医の指示を優先してください。
サプリは根拠・届出・とりすぎを確かめる
サプリメントは、根拠の強さ、制度上の位置づけ、とりすぎや薬との組み合わせの3点を確かめて選びます。
コラーゲンは企業資金のない研究で効果みられず
コラーゲンのサプリメントは、肌の老化への使用を支持する根拠は現時点でないと結論した分析があります。参加者を無作為に分けて比べた23の試験、計1,474人の統合では、全体では皮膚の水分量・弾力・しわが改善したものの、製薬企業の資金を受けていない研究や質の高い研究に限ると効果はみられませんでした。
機能性表示食品は国が審査していない
機能性表示食品は、事業者が安全性と機能性の根拠を消費者庁に届け出れば機能性を表示できる食品で、特定保健用食品(トクホ)と違い国の審査はありません。届出内容は消費者庁のウェブサイトで誰でも閲覧でき、2024年からは、医師が診断した健康被害の疑いを把握した事業者に行政への報告が義務づけられました。飲むセラミドなど保湿をうたう商品も、購入前に届出内容で試験の中身を見ておくと判断の助けになります。
ビタミンAはとりすぎと薬の組み合わせに注意
ビタミンAは、とりすぎと薬との組み合わせに注意が必要です。健康を害さない上限の量である耐容上限量は成人で1日2,700μgRAEで、サプリメントや動物性食品のレチノールなどが対象となり、野菜のβ-カロテンは含まれません。妊娠中も同じ値が参考にされています。
重い乾癬や魚鱗癬に使うレチノイドの飲み薬にはビタミンA製剤との併用が禁止されたものがあり、併用するとビタミンAのとりすぎに似た副作用が出ることがあります。治療中や妊娠中・妊娠を考えている人はビタミンAを含むサプリメントの前に医師か薬剤師に相談し、体調が変わったらやめて受診してください。
3日分の食事を書き出して、たんぱく質と野菜・果物が毎食そろっているかを確かめ、サプリメントはラベルでビタミンAの量と届出の有無を見ておきましょう。
シワと美容医療は乾燥の段階を見て選ぶ
保湿と生活や食事の見直しを続けても残りやすいのが、小ジワや肌の質感の悩みです。表情ジワや深いシワ、肌の質感には保湿以外の手段が要りますが、赤みや湿疹、強いかゆみがあれば美容医療より先に治療が必要です。
この章のポイント
・保湿で目立たなくなるのは乾燥による小ジワ
・保水性を狙う注入は粗さの改善割合が月ごとに低下
・赤み・ひび割れ・夜のかゆみは治療が先
承認とは国が有効性と安全性を審査して製造販売を認めることで、悩みごとの手段と範囲は次のとおりです。
| 手段 | 対象になる悩み | 承認・表示の範囲 | 効果の続き方 |
|---|---|---|---|
| 保湿化粧品 | 乾燥による小ジワ | 小ジワを目立たなくするまで | 使い続ける間 |
| 医療用保湿剤などの治療 | 皮脂欠乏症・湿疹 | 病気の治療薬 | やめると再発しうる |
| 保水性の改善を狙う注入 | 肌の粗さ・保水性 | 成人の顔と首の皮内で承認 | 粗さの改善割合は数か月で低下 |
| 表情ジワの注射 | 眉間・目尻の表情ジワ | 65歳未満の成人で承認 | 効果は一時的 |
注入も注射も、日々の保湿を続けることが前提です。
乾燥による小ジワは保湿で目立たなくなる
保湿で変えられるのは、乾燥による小ジワを目立たなくするところまでで、化粧品が表示できるシワの効果もこの範囲に限られています。
この効能は2011年の国の通知で加わったもので、表示には定められた試験で効果を確かめることが求められます。化粧品業界の広告の自主基準でも、全てのシワに効くと誤解させる表現や、小ジワの解消・予防、若返りや老化防止をうたう表現は認められないとされており、化粧品の広告でこうした言葉を見かけたら範囲を超えた表現と判断できます。なお、化粧品とは別に、国の承認を受けて「しわを改善する」効能を表示できる医薬部外品もあります。
表情ジワや深いシワは乾燥が主な原因ではなく、保湿では変わりません。美容目的で国内承認されたボツリヌス毒素製剤の対象は、65歳未満の成人の眉間・目尻の表情ジワと、えらの筋肉(咬筋)の張り出しに限られます。重症筋無力症など神経から筋肉への伝わりが悪くなる病気がある人、妊娠中・授乳中の人、成分にアレルギーがある人、ほかのボツリヌス毒素製剤で治療中の人は受けられず、まぶたが下がるなどの副作用が報告されています。
保水性を狙う注入は承認製剤と副作用を確認
成人の顔と首の小じわなどのへこみの修正と、皮膚の保水性・弾力性の改善を使用目的とするヒアルロン酸の注入材は、2020年12月に国内で承認されました。2026年2月には、同じ使用目的で承認された別の販売名の製品も発売されています。まぶたや唇への使用、鼻を高くする目的での使用は対象外で、肌質改善をうたう注入には未承認の製剤もあるため、承認製剤かを確かめることが出発点です。この使用目的で承認を受けている製品の販売名は、ジュビダームビスタ ボライト XCとスキンバイブ by ジュビダームビスタです。
改善の割合は月を追って下がる
フランスで行われた比較する群を置かない試験では、131人の頬(計261か所)のうち皮膚の粗さが1段階以上改善した頬の割合が、1か月後96.2%から6か月後34.9%、9か月後15.7%へと下がりました。この試験は、製造元である当時のアラガン社が資金を出し、同社の社員も著者に加わったもので、使われたのは麻酔薬を含まない同系統の製品です。製品の公式な説明書も、ほかの部位に使うヒアルロン酸注入材より効果の続く期間が短く、程度も穏やかだと患者に説明するよう求めています。
受けられない人と主な副作用
製剤の成分や、製剤に含まれる麻酔薬(リドカイン)と同じ種類の局所麻酔薬、製造に使う細菌に由来する微量のたんぱく質にアレルギーがある人は受けられません。出血しやすい人や血液をさらさらにする薬を使う人、ケロイド体質の人、免疫の病気がある人は慎重な判断が必要で、妊娠中・授乳中と未成年は安全性が確立していません。先述の試験では、赤み・腫れ・内出血・小さなしこりなどが8割以上の人に出ました。赤みや腫れの多くは1週間以内に治まりましたが、内出血は3人に1人で8〜14日続きました。まれに注入材が血管に入ると、失明や脳卒中を起こすおそれがあります。
施術前に緊急時の体制と費用を確かめる
皮膚が白くなる・強い痛み・見え方の異常といった血管が詰まった兆候への対応手順と、他の専門医と連携できる体制があるかを事前に確かめます。注入材は医療機器のため、医薬品の副作用による健康被害を公的に救済する制度の対象外です。費用は保険が使えない自由診療で医療機関ごとに異なるため、1回あたりの費用だけでなく、効果を保つには繰り返しの施術が必要になりうることを踏まえた総額の見込みも確認します。
赤み・ひび割れ・夜のかゆみは受診の目安
両すねなどに赤み・ひび割れ・湿疹がある場合や、夜にかゆくて目が覚める場合は、セルフケアの範囲を超えた治療の対象です。
学会の手引きは、細かい粉や軽いざらつきだけでかゆみがなければ生活の見直しと市販品で対処し、はっきりした皮むけや掻き傷があれば医療用の保湿剤を、湿疹になればステロイドの塗り薬などの併用を考えるとしています。次の手順は手引きの見た目とかゆみの評価をもとにした一例で、医学的な診断ではありません。
- 入浴前に明るい場所で両すねを見る
- 細かい白い粉・かすかなざらつき・くすみだけなら軽い段階
- 粉がはっきり全体に広がっている、掻き壊した跡がある、わずかな赤みや浅いひび割れがあれば、医療用の保湿剤が検討される段階
- 大きな皮むけ・赤み・湿疹・ひび割れがあれば治療が必要な段階
- 夜にかゆくて目が覚めるかを振り返る
3〜5のいずれかに当てはまる場合や、保湿を続けても良くならない場合は医療機関を受診し、持病や薬が原因の可能性があれば主治医にも伝えてください。医療用の保湿剤は病気の治療薬で、美容目的の処方は保険診療の対象外であることが2018年の診療報酬改定で明確にされています。
乾燥肌の改善についてよくある質問
よく寄せられる疑問に短く答えます。
乾燥肌は体質だから治らないのですか?
体質で乾きやすい人はいても、保湿剤を続ければ症状を抑えることが期待でき、学会の手引きも保湿を強く勧めています。ただし、やめると再発しやすい点に注意が必要です。
保湿剤は1日に何回塗ればよいですか?
1日2回が目安です。学会の手引きも1日1回より2回のほうが保湿効果を期待できるとしており、入浴後は直後でなくてもよいので、毎日続けやすい時間に塗ります。
水をたくさん飲めば乾燥肌は改善しますか?
水を多く飲むだけで乾燥肌が改善するとは言えません。普段あまり飲まない人で角層の水分がわずかに増えたという報告はありますが、根拠は弱いと評価されています。
コラーゲンのサプリメントは乾燥肌に効きますか?
乾燥肌に効くと言える根拠は不十分です。肌の水分量などを調べた試験をまとめると改善がみられたものの、企業から資金を受けていない研究や質の高い研究では効果がみられませんでした。
乾燥肌で医療機関を受診する目安はありますか?
粉ふきがはっきり広がっている、掻き壊した跡がある、赤み・湿疹・ひび割れがある、夜にかゆくて目が覚める、保湿を続けても良くならないといった場合が受診の目安で、化粧品で様子を見る段階を超えています。
まとめ
乾燥肌の改善は、今日から始められる3つの行動に絞れます。1つ目は保湿剤を人差し指の先から第一関節までの量で手のひら2枚分に塗り、朝の着替え前と夜の入浴後など時間を決めて1日2回続けることです。2つ目は洗浄料を泡立てて手のひらで洗い、熱い湯と長湯を避けること、3つ目は冬の室内を湿度計で確かめながら40%を目安に加湿することです。
食事はたんぱく質やビタミンが不足しない範囲で整えれば十分で、サプリメントは根拠の強さや届出の内容、ビタミンAなどのとりすぎを確かめてから選びます。赤み・ひび割れ・夜に目が覚めるかゆみがあれば美容医療より先に治療を受け、そのうえで乾燥による小ジワや肌の質感が気になる場合は、保湿を土台にしながら医療機関に相談できます。池袋本院では、保湿の続け方も含めてカウンセリングでご相談いただけます。
アラジン美容クリニックでは、美容医療および美容皮膚における長年の経験や博士号を持つ知見より、出逢う皆様のお一人ひとりに最適な施術を提供する「オンリーワン」を目指すカウンセリングを実施し、余計な情報や提案をせず、「ウソのない」美容医療で、必要な施術のみをご提案しております。
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参考文献・出典
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