鼻根のヒアルロン酸は危険?失明リスクと注入量・ダウンタイムの目安

美容医療

鼻根へのヒアルロン酸注入は、目と目の間にある鼻の付け根(鼻根)にヒアルロン酸を注射して高さを出す施術で、切らずに受けられる一方、まれでも失明などの重い合併症が起こりうる危険があります。

鼻は、眉間・額と並んで、注入による失明の報告が特に多い部位です。鼻根と鼻筋を対象にした海外の比較試験では、1mL前後の注入で高さが約2mm上がり、1年後に残っていたのはその変化の半分強でした。押したときの痛みなど何らかの反応はほぼ全員に出て、多くは数日から1週間で引いています。

ヒアルロン酸注入に関する国際的な専門家の合意も、鼻と眉間を失明リスクが最も高い区分に置いています。また、国内で承認されているヒアルロン酸注入材12製品のうち10製品は、隆鼻術(鼻を高くする施術)を使用目的から除外しています。鼻を使用目的の対象外としていない承認品は1製品で、鼻への使用が承認の範囲に入るかどうかは製品ごとに異なります。

ここでは、量と高さの目安、鼻根が危険とされる理由、承認と修正の限界、ダウンタイム、受ける前のセルフチェックを順に取り上げます。

 

鼻根と鼻筋で1mL前後、高さの変化は約2mm

鼻への注入を無処置のグループと比べた海外の試験では、初回の注入量は平均0.8〜1.2mL程度、高さの変化は約2mmで、鼻根と鼻筋の試験では1年後にその変化の半分強が残っていました。高さだけでなく鼻筋の幅も変わりうること、鼻根だけでも軽い施術とは言えないことも押さえておく必要があります。

この章のポイント
・試験の初回量は平均1mL前後
・高さの変化は約2mm、幅も広がりうる
・1試験では1年後に変化の半分強が残存

注入量は鼻根と鼻筋で1mL前後

鼻根を含めて鼻に入れるヒアルロン酸の量は、比較試験では初回の平均が0.8〜1.2mL程度でした。いずれも鼻根だけでなく鼻筋なども含めた量です。1ccは1mLと同じ量です。

根拠は中国の2つの試験で、参加者をくじ引きで注入するグループと注入しないグループ(無処置のグループ)に分け、3次元写真で鼻の形を測って比べました。概要は次のとおりです。

試験 対象 初回の平均注入量 高さの変化 経過と幅の記録
鼻根と鼻筋の試験 中国の132人 0.8mL(上限1mL) 無処置との差2.22mm(2週) 12か月で変化の55%が残る
鼻筋中心の試験 中国の164人 1.18mL 鼻根の高さが注入前から平均2.43mm上昇(24週) 鼻筋の幅が平均1.86mm増

いずれも注入材の製造販売企業の資金による試験です。鼻根と鼻筋の試験では企業がデータの分析と解釈、原稿作成の支援にも関わり、鼻筋中心の試験では企業の社員2名が著者に加わっています。使われた注入材は国内の使用目的に鼻を含みません。部位や測った時期、比べ方(無処置のグループとの差か、注入前からの変化か)も違うため、数字を直接比べることもできません。追加の注入を含めた合計の平均は、鼻根と鼻筋の試験で1.1mL、鼻柱(左右の鼻の穴の間)なども対象にした鼻筋中心の試験で1.43mLでした。

添付文書とは、製造販売会社が作成する製品の公式の説明書で、使い道や使ってはいけない人、使い方の注意が書かれています。鼻に使う場合の注意を書いた国内承認品の公式の説明書は、0.1〜0.2mL程度ずつ広く注入すること、1か所に2mLを超えて注入しないこと、入れすぎ(過修正)を行わないことを求めています。必要な量はどこまで高くするか、鼻筋や鼻柱まで入れるかで変わり、何ccが正解という一律の目安はありません。

高さは約2mm、1年後は変化の半分強

先述の鼻根と鼻筋の試験では、鼻の正中(顔の左右の真ん中を通る線)上で最も大きく盛り上がった点の上がり方が、無処置のグループとの差で2週後に2.22mm、6か月後に1.43mmでした。2週後の変化を100としたとき、残っていた割合は、参加者を並べたときの真ん中の値(中央値)で6か月後67%、9か月後57%、12か月後55%でした。

高さと同時に幅が変わることもあります。先述の鼻筋中心の試験では、24週後に鼻根の高さが平均2.43mm上がった一方、鼻筋の幅も平均1.86mm広がっていました。幅の変化は人によるばらつきが大きく、全員が平均どおりに広がるわけではありません。鼻根と鼻筋の試験では、注入の際は必要に応じて鼻筋の両脇を指で押さえていました。

目と目の間の印象の変化そのものを調べた研究は限られていますが、鼻根の幅が広がれば目頭まわりの見え方も変わりえます。相談では「高さ」と「幅」を分けて希望を伝えることが大切です。

鼻根のみの注入と鼻先・眉間の扱い

鼻根だけに注入することはできますが、鼻根は上で眉間に、横で目頭に接しており、範囲が小さいから軽い施術とは言えません。先述の2つの試験はいずれも、鼻先や眉間への注入が必要な人を対象から外すか、その部位への注入を禁じていました。

国内の承認品で鼻に使う場合の注意を書いた製品の公式の説明書は、鼻では正中線に注入すること、正中線以外や鼻先は注入したゲルを受け止める余地が乏しく血管を傷つけるおそれがあることを警告しています。鼻へのヒアルロン酸注入を扱った37の研究を集めた系統的レビュー(決められた方法で複数の研究を集めて評価したまとめ)も、失明や脳梗塞などの重い合併症は鼻根や眉間での操作に起因すると考え、この部分への注入量を最小限にする医師もいると紹介しています。

 

鼻根が危険とされるのは目につながる動脈が通るから

約2mmの高さの変化と引き換えに考えておくべき最も重い危険が失明です。鼻根に注入したヒアルロン酸が動脈に入ると、目を養う動脈へ流れ込んで視力障害を起こすことがあり、鼻と眉間は国際的な専門家の合意で失明リスクが最も高い区分に置かれています。まれでも、起きれば多くは注入直後で、元に戻らないことが少なくありません。

この章のポイント
・鼻と眉間は失明リスクが最も高い区分
・視力障害の多くは注入直後に起きる
・目頭の高さで動脈は正中から平均4.4mm

鼻と眉間は失明リスクが最も高い区分

ヒアルロン酸注入による視力障害を防ぐための国際的な専門家の合意は、顔を4段階に分けて眉間・鼻・額を最も高い「非常に高い」区分に置き、目の周りやこめかみ、ほうれい線を次の「高い」区分としています。

顔の皮膚の下を走る動脈の一部は、目の奥の動脈(眼動脈)とつながっています。注入物が誤って動脈に入り、圧で流れをさかのぼって網膜を養う血管をふさぐと、視力障害が起こります。

ヒアルロン酸による視力障害44例を集めた系統的レビューでも、関わった部位は鼻・眉間・額が最も多く、顎やフェイスライン、唇からの報告はなく、報告の多い国は韓国、次いで中国でした。2018年9月から2023年3月までに報告された注入材による視力障害365例をまとめた、より新しいレビューでも、部位は鼻が40.6%と最も多く、額27.7%、眉間19.0%と続き、注入材の79.6%はヒアルロン酸でした。いずれも報告された症例の内訳や専門家の意見の集約で、注入を受けた人のうち何%に起きるかという部位ごとの発生率を測ったものではありません。専門家の合意の著者の多くは、注入材メーカーとの利害関係を申告しています。

視力障害の多くは注入直後に起きる

鼻への注入後に起きた視力障害22例を集めた系統的レビューでは、注入直後に起きた例が82%で、視力が完全に戻ったのは27%でした。

そのうちヒアルロン酸は半数で、ほかの注入材の例も含みます。注入部位が分かった例では、鼻の付け根から鼻筋への注入が12例と最も多く、眉間が6例でした。完全に回復した例でも平均5.3か月かかり、分解酵素やステロイドなどで治療しても元に戻らない例が多かったと報告されています。先述の44例のレビューは、0.2mLという少量でも永続的な完全失明が起こりうるとしており、量が少なければ安全とは言えません。

頻度の手がかりとしては、先述の37の研究・7,339人を集めた系統的レビューで、失明・皮膚の壊死・脳梗塞といった重い合併症は合わせて1,000人に3人程度でした。この数字には1人ごとの経過を報告した症例報告も含まれ、症例報告以外の研究に限ると0.1%未満でした。公表された研究を集めた数字で報告の偏りもありうるため、実際の発生率をそのまま表すものではありません。

目頭の高さでは動脈が正中の近くを通る

左右の目頭を結んだ線の高さでは、鼻の上部を走る動脈(鼻背動脈)が鼻の正中から平均4.4mm外側を通っていると報告されています。アジア人の献体(研究のために提供されたご遺体)の鼻31体を調べた解剖研究の結果で、個人差が大きく、より正中の近くを通る人もいました。

鼻に使う場合の注意を書いた先述の製品の公式の説明書は、眉間と目の周り(まぶた、目の下、目尻など)へは注入しないこと、手術やけがのあとの鼻は血管を傷つけるおそれがあることも警告しています。目頭は、この「目の周り」の内側の端にあたります。同じ説明書は、注入中や直後に見え方の異常、皮膚が白くなる、異常な痛みが出たら直ちに注入を止めるよう求めています。

 

失明以外のデメリットは承認と修正の限界

失明の危険を知ると、次に気になるのは万一のときに戻せるのか、守られるのかという点です。国内で承認されているヒアルロン酸注入材12製品のうち10製品は隆鼻術を使用目的から除外しています。ヒアルロン酸を溶かす注射は、その目的では国内で承認されておらず、視力障害を戻せるとは限りません。さらに、ヒアルロン酸注入材は医薬品の救済制度の対象外です。

この章のポイント
・12製品中10製品は隆鼻術を除外
・溶かす注射はその目的では国内未承認
・ヒアルロン酸注入材は救済制度の対象外

国内承認12製品のうち10製品は隆鼻術を除外

国内で承認されているヒアルロン酸注入材12製品のうち10製品は、使用目的の欄で隆鼻術を明記して除外しています。承認とは、国が品質・有効性・安全性を審査し、決められた使用目的での製造販売を認めることです。鼻の扱いで分けると次のとおりです。

使用目的の書き方 製品数 鼻の扱い 補足
隆鼻術を除外と明記 10製品 使用目的から除外 鼻に使うと承認範囲外
中顔面・下顎部・こめかみ 1製品 使用目的の部位に鼻を含まない 鼻に使うと承認範囲外
顔面のボリューム回復・増大 1製品 鼻を対象外とせず、警告で鼻は正中に注入するよう指示 承認時の試験は顎

表のとおり、使用目的に鼻を明記した製品はありません。10製品は「隆鼻術等の形状の変更を目的とした使用は本品の適応に含まれない」などと書き、その中には鼻根と鼻筋の試験の注入材に麻酔薬を加えた製品も含まれます。鼻筋中心の試験の注入材は、国内では中顔面・下顎部・こめかみを使用目的とする製品として承認されており、鼻はその部位に含まれません。一方、顔面のボリューム回復・増大を使用目的とする1製品は、唇・眉間・目の周りを対象外としていますが鼻は対象外に挙げておらず、警告で鼻に使う場合は正中に注入するよう定めています。同じ承認品でも、鼻への使用が承認の範囲に入るかどうかは製品ごとに異なるため、使う製品の販売名で確かめる必要があります。

国内の診療指針も、顔のしわへのヒアルロン酸注入について「承認品もあるが、未承認品も広く使用されている」としています。承認された使用目的の範囲外での使用や未承認品の使用は、医師の判断で自由診療として行われることがあります。

溶かす注射はその目的では国内未承認で、失明を戻せるとは限らない

ヒアルロン酸を分解する酵素(ヒアルロニダーゼ)の注射薬は、ヒアルロン酸を溶かす目的では国内で承認されていません。自由診療で使われていますが、この目的では国内未承認・保険適用外の薬です。国内の診療指針は、分解の程度は製品によって異なり、分解されにくいものもあるとしており、見た目の修正でも思うように戻らないことがあります。

視力障害への分解酵素の投与について、指針は有効例の報告はあるものの改善した症例数が少なく、治療法が確立されたとは言えないと述べています。先述の鼻への注入後の視力障害22例のレビューでも、治療しても戻らない例が多くみられました。一方で先述の国際的な専門家の合意は、血管内への注入に備えて、すべての施設が分解酵素を直ちに使える状態にしておくべきだとしています。「溶かせば戻る」は、見た目の修正の話と、視力障害の救急対応の話を分けて受け止める必要があります。

何年も残る場合と救済制度の対象外

国内の診療指針は、ヒアルロン酸が吸収されるまでの期間は製品の性質や体の条件で変わるとしています。「半年から1年で自然になくなる」とは限りません。

吸収されない注入材(非吸収性フィラー)は国内ではすべて未承認で、指針は顔のしわへの注入を行わないよう強く推奨しています。遅れて出る合併症の危険があり、取り除くのが難しく、長期の安全性が確立していないためです。「長持ち」をうたう注入材を勧められたら、吸収される素材か、国内で承認されているかを確かめる必要があります。

公的な医薬品副作用被害救済制度の対象は医薬品と再生医療等製品で、ヒアルロン酸注入材は医療機器のため対象になりません。検討中の医療機関には、使う製品の販売名、その使用目的に鼻が含まれるか、吸収される素材かの3点を予約の前に問い合わせておくと、判断材料がそろいます。

 

ダウンタイムの目安と受けられない人

それでも受ける方向で考えるなら、次はダウンタイム(腫れや内出血などで普段どおりに過ごしにくい期間)と自分の条件の確認です。比較試験では押したときの痛みが8割以上、腫れが7割以上にみられ、多くは数日から1週間で引きました。内出血は約4割に出て、多くは2週間以内に消えています。

この章のポイント
・痛みや腫れは数日〜1週間で引く例が多い
・1週間は押さない・眼鏡の圧迫に注意
・受けられない人と慎重な人を先に確認

押した痛みや腫れは数日で引くことが多い

押したときの痛みや腫れは多くの人に出ますが、数日から1週間で引くことが多いと報告されています。先述の鼻根と鼻筋の試験の14日間の日誌では、全員に何らかの反応があり、押したときの痛みが93%以上、痛みが85%以上、腫れが76%以上でした。多くは軽度から中等度で、おおむね2〜6日続き、1週間以内に消えています。

先述の鼻筋中心の試験で56日間つけた日誌では、押したときの痛み81.5%、腫れ71.4%、硬さ63.9%、赤み57.1%、内出血39.5%でした。多くは14日以内に、すべて56日以内に消え、施術中の痛みは0〜10の11段階で平均2.7でした。

「ダウンタイムはほぼない」とは言いにくく、一例として、大事な予定の前は2週間ほど余裕をみておくと安心です。いずれも中国人を対象にした製造販売企業の資金による試験で、日本人に同じ経過が当てはまるとは限りません。

当日から1週間の過ごし方と眼鏡

国内の承認品の公式の説明書は、施術後24時間は激しい運動、長時間の日光や高温、飲酒を避け、1週間程度は注入部位のマッサージや圧迫を避けるよう求めています。先述の鼻根と鼻筋の試験でも、試験期間中は重い眼鏡を使わないよう指示されていました。眼鏡の鼻当ては鼻根のすぐ下に当たるため、使う人はかけ方を施術前に相談しておきます。

次のような変化があれば、様子を見ずにすぐ医療機関へ連絡します。

  • 見え方の異常(かすむ・欠ける・見えにくい)
  • 注入部位や周りの皮膚の白さ・まだら模様
  • 強い痛みの持続
  • 1週間を超えて続く腫れや赤み

追加の注入(タッチアップ)は、反応が消えるまで少なくとも2週間以上空けることが望ましいとされています。

受けられない人と慎重な判断が要る人

製品の成分や、リドカインなど同じ系統(アミド型)の局所麻酔薬、製造に使われる細菌(グラム陽性菌)に由来するたんぱく質で過敏症(アレルギー反応)を起こしたことがある人は、承認品の公式の説明書で禁忌(使ってはいけない人)とされています。炎症や感染がある部位にも使いません。次に当てはまる人は、慎重な判断が必要です。

  • アレルギー体質、アナフィラキシーや連鎖球菌の病気の経験
  • 免疫の病気、免疫を抑える治療中
  • ケロイドや傷あとの盛り上がり、色素の異常が出やすい体質
  • 血が止まりにくい体質、痛み止めや血をさらさらにする薬の使用
  • レーザー治療やピーリングの最中・予定
  • 心臓の電気の伝わり方の異常(伝導障害)、重い肝臓・腎臓の病気、ポルフィリン症(血液の色素をつくる過程の異常で起こる病気)

鼻の手術やけがの経験がある人は、特に注意が必要です。承認品の公式の説明書は、手術後やけがのある鼻では血管を傷つけるおそれがあるとし、鼻形成術を受けた人では重い虚血(血流が途絶えること)のリスクが高いとしています。ほかの注入材がすでに入っている部位は安全性が確立しておらず、永久的なインプラントが入っている部位への注入は避けるよう求められています。妊娠中・授乳中の人や未成年への安全性も確立していません。

主な副作用は腫れ、押したときの痛み、内出血、硬さ、しこりで、まれに感染、肉芽腫(体の反応でできるしこり)、位置のずれ、皮膚の壊死、失明や脳卒中が起こりえます。脳卒中は、まひなどの後遺症が残ったり、命に関わったりすることもある合併症です。

 

受ける前のセルフチェックと相談で聞くこと

ここまでの数字と危険を踏まえると、受けるかどうかは自分の希望と条件を整理してから決めるのが現実的です。受ける前には自宅で写真を撮って何をどれだけ変えたいかと受けられる条件かを整理し、相談では緊急時の備えと製品の承認を確かめます。鼻根の横じわは、ヒアルロン酸とは別の悩みとして扱います。

この章のポイント
・写真で変えたい所と条件を整理する
・横じわは動きか刻みかで対処が変わる
・緊急時の備えと製品の承認を先に聞く

鏡と写真でできるセルフチェック

次の手順は診断ではなく、何を変えたいかと受けられる条件かを整理し、相談の場で伝えるための確認の一例です。

  1. 窓際の明るい場所で無表情のまま正面と真横を撮り、撮った距離と時間帯を控える
  2. 真横の写真で鼻根のいちばん低い点を見て、高さと位置のどちらを変えたいか書き留める
  3. 正面の写真で目頭の間と鼻根の幅を見て、今より広がってほしくないか書き留める
  4. 眉を寄せたときと無表情のときで、鼻根の横じわが出るか残るかを見比べる
  5. 眼鏡の鼻当ての位置、鼻の手術・けが・過去の注入の有無、使っている薬を書き出す

撮った写真は理想の鼻の基準ではないため、高さや幅の良し悪しを自分で判定する必要はありません。承認品の公式の説明書も処置前の写真撮影を勧めており、記録は施術後の変化を確かめる材料にもなります。

鼻根の横じわと手術などの選択肢

眉を寄せたときにだけ出る鼻根の横じわは、眉間の奥にある鼻根筋が眉を内側で引き下げる動きでできる表情じわで、高さを出す悩みとは別に考えます。

動きで出る横じわとボツリヌス製剤

動きで出る横じわには、ボツリヌス製剤が選択肢になります。美容目的で国内承認されたボツリヌス製剤の国が認めた使い道は、65歳未満の成人の、眉間・目尻の表情じわと、えらの筋肉の張り出し(咬筋膨隆)で、眉間の表情じわに承認された注射部位には左右の眉の筋肉と鼻根筋が含まれます。国内で行われた、比べるグループを置かない試験では、20単位を眉間に注射した4週後の改善率が92.6%でした。長期投与の試験で効果が続いた期間は、20単位のグループで平均約16週、10単位のグループで平均約13週でした。

副作用にはまぶたが下がる眼瞼下垂などがあり、先述の比べるグループを置かない試験では10.4%にみられました。重症筋無力症など、神経から筋肉への信号の伝わりが全身で妨げられる病気がある人、妊娠中・妊娠の可能性がある人・授乳中の人、成分で過敏症を起こしたことがある人、ほかのボツリヌス製剤で治療中の人には使えません。国内の診療指針は、表情じわへのボツリヌス注射を、治療を希望する人には行うよう強く推奨しています。ただし、承認された使い道や使い方の範囲外で使った場合は、医薬品であっても救済制度の対象にならないことがあります。

無表情でも刻まれて残る横じわにヒアルロン酸を注入した効果を調べた研究は限られており、その場所は承認品の公式の説明書が注入しないこととする眉間に接しています。

手術などほかの選択肢

持続的に高さを出したい場合は、人工物や自分の軟骨を使う隆鼻術が検討されます。人工物を使う隆鼻術を受けた人の経過を記録した観察研究27件・3,803例を集めた分析では、感染や位置のずれ、露出などの合併症が報告され、修正手術を要した割合は約6%でした。手術後の鼻への注入は血管を傷つけるリスクが高いとされるため、どちらを先に選ぶかで後の選択肢が変わります。「今は受けない」「写真で経過を見る」という選択も等しく成り立ち、吸収されない注入材は先述のとおり勧められていません。

緊急時の備えと製品の承認を聞いておく

相談では、仕上がりの希望と同じくらい、緊急時の備えと製品の承認の確認が欠かせません。厚生労働省は施術前の確認として、使う薬などを自分でも説明できるか、効果だけでなくリスクや副作用も知って納得したか、ほかの方法の説明も受けて自分で選んだか、その施術は「今すぐ」必要か、の4点を挙げています。

鼻根への注入では、次の項目を聞いておくと判断しやすくなります。

  • 使う製品の販売名・入手経路と国内承認の有無
  • その製品の使用目的に鼻が含まれるか
  • 見え方の異常が出たときの対応手順と眼科との連携
  • 分解酵素の常備と、ヒアルロン酸を溶かす目的では国内未承認であることの説明
  • 施術時間外の連絡先
  • 救済制度の対象外であることの説明
  • 追加注入・修正・溶解を含む費用の総額(一般的な目安)

説明に不安が残るときは、医療安全支援センターに相談することもできます。撮った写真とこの確認項目を書き出したメモを相談の場に持参すると、希望の伝え漏れと聞き漏らしの両方を防げます。

 

鼻根へのヒアルロン酸注入でよくある質問

検討中に抱きやすい疑問に、短く答えます。

鼻根にヒアルロン酸は何cc入れますか?

海外の比較試験では、鼻根を含む鼻への初回の注入量は平均0.8〜1.2mL程度で、1ccは1mLです。いずれも鼻根だけでなく鼻筋なども含めた量です。必要な量は高さや範囲で変わり、少量でも血管に入れば重い合併症が起こりえます。

鼻根のヒアルロン酸で失明することはありますか?

まれですが、報告があります。鼻と眉間は国際的な専門家の合意で失明リスクが最も高い区分とされ、注入中や直後の見え方の異常、皮膚が白くなる変化はすぐに伝える必要があります。

鼻根のヒアルロン酸のダウンタイムはどのくらいですか?

比較試験では押したときの痛みが8割以上、腫れが7割以上に出て、多くは数日〜1週間で引きました。内出血は約4割で多くは2週間以内に消え、1週間は押さないよう求められています。

鼻根だけにヒアルロン酸を入れることはできますか?

できますが、鼻根は眉間と目頭に接しており、重い合併症は鼻根や眉間での操作と関連づけられています。鼻根だけだから軽い施術とは言えません。

鼻根の横じわはヒアルロン酸で消せますか?

ヒアルロン酸で消せるかを調べた研究は限られています。眉を寄せたときの横じわは筋肉の動きによるもので、65歳未満の成人の眉間の表情じわに承認されたボツリヌス製剤は、鼻根の筋肉にも注射します。

 

まとめ

鼻根へのヒアルロン酸注入は、鼻根と鼻筋に1mL前後を入れて高さが約2mm変わり、1試験では1年後にその変化の半分強が残っていたという規模の施術です。その一方で、鼻は眉間・額と並んで失明の報告が特に多い部位で、国内で承認されているヒアルロン酸注入材の多くは隆鼻術を使用目的に含めていません。ヒアルロン酸を溶かす注射もその目的では国内で承認されておらず、失明を戻せるとは限りません。これらの数字は主に中国で行われた製造販売企業の資金による試験の集団の記録で、個人の結果を約束するものではありません。

受ける前には、写真で高さと幅のどちらをどれだけ変えたいかを決め、受けられない条件と施術後1週間の予定を確かめたうえで、相談の場で製品の承認と使用目的、緊急時の備えを聞いておくと判断しやすくなります。

自分に合う量や範囲、受けられる条件かどうかを一人で判断しきれないときは、カウンセリングでご相談ください。撮った写真とメモがあれば、希望と危険の両方を踏まえて整理できます。

アラジン美容クリニックでは、美容医療および美容皮膚における長年の経験や博士号を持つ知見より、出逢う皆様のお一人ひとりに最適な施術を提供する「オンリーワン」を目指すカウンセリングを実施し、余計な情報や提案をせず、「ウソのない」美容医療で、必要な施術のみをご提案しております。

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参考文献・出典

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