酒さとニキビの違いは?毛穴の芯と赤みの出方で見分ける

美容皮膚

酒さとニキビを見分けるいちばんの手がかりは、白ニキビ・黒ニキビと呼ばれる毛穴の詰まり(面皰)があるかどうかで、酒さの赤いぶつぶつには、ニキビが重なっていない限り面皰がありません。もう一つの手がかりは赤みの出方です。

酒さでは頬・鼻・眉間・あごの赤みがぶつぶつのない日にも面として続き、細い血管の透けやほてり、ヒリヒリ感を伴うことがあります。両者は使う薬も治療の目標も異なり、ニキビ向けの薬や顔に塗ったステロイドで赤みが強まる場合もあります。

ここでは、見分け方から治療の違い、受診前の確かめ方までを順に説明します。自宅でのセルフチェックは診断の代わりにはなりませんが、受診の際に医師へ症状を正確に伝える準備になります。

 

酒さとニキビは面皰と赤みの出方で見分ける

最初に見るのは、毛穴に白や黒の芯(面皰)があるかと、赤みがぶつぶつの周りだけか顔の中央に面で続くかの2点です。いずれもガイドラインの病気の定義に書き込まれた違いで、年齢や出る場所は補助的な手がかりです。

この章のポイント
・白や黒の芯があればニキビの要素がある
・酒さの赤みは顔の中央に面で続く
・年齢と出る場所だけでは決められない

白ニキビ・黒ニキビがあればニキビの要素がある

毛穴に白や黒の小さな芯(面皰)があれば、ニキビの要素があります。酒さの赤いぶつぶつには、ニキビが重なっていない限り、この芯がありません。

日本皮膚科学会の尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドラインは、ニキビを面皰から始まる病気と定義し、面皰を毛穴の出口が閉じた白色面皰(白ニキビ)と開いた黒色面皰(黒ニキビ)に分けています。一方、酒さは「痤瘡とは異なり、面皰を伴わない」と定義されています。

ただし、面皰があれば酒さではない、とまでは言えません。国内の専門医10人が2026年にまとめた合意声明は、酒さのぶつぶつはニキビが重なっていない限り面皰を伴わないとし、10人中9人が賛成しました。この合意声明は酒さの塗り薬の製造販売会社が資金を出したもので、著者の複数は同社などから講演料などを受けています。

酒さの赤みは顔の中央に面で続く

ニキビの赤みはぶつぶつ一つ一つに付いて出ますが、酒さの赤みはぶつぶつが引いても頬・鼻・眉間・あごに面として残り、ときどき強まります。

ガイドラインは、ニキビが治ったあとの赤みを「一時的に残る紅斑」とする一方、酒さには紅斑と毛細血管拡張(細い血管が透けて見える状態)、ほてりを主体とする赤ら顔の症状を含めています。先述の合意声明は、ほかの病気と見分ける要点を毛穴の周りの赤みと細い血管の有無とし、酒さのぶつぶつは米粒の半分ほどまで、灼熱感やヒリヒリ感は主に頬に出るとしました。

酒さの治療薬を販売する製薬会社が資金を出し、2017年に公表されて2019年に更新された、海外の専門医による国際的な合意も、顔の中央に続き、ときどき強まる赤みと、鼻などの皮膚が厚く盛り上がる変化を、それぞれ単独で酒さと診断しうる特徴としています。一方、ぶつぶつ・細い血管・ほてり・目の症状は、単独では決め手にならないと位置づけています。

出る場所と年齢は決め手にならない

出る場所と始まった年齢は手がかりになりますが、大人になってからできるニキビもあるため、それだけでは決められません。

ガイドラインは、ニキビを思春期以降に顔・胸・背中に出る病気、酒さを主に中高年の顔に出る病気とし、先述の合意声明も酒さは原則として胸や背中などの体には出ないとしました。ただし日本皮膚科学会の一般向けQ&Aは、大人になっても続くニキビや、大人になって初めてできるニキビ(思春期後痤瘡)があり、女性に多いと説明しています。

国内の研究でも、酒さの人は大人の女性が中心でした。メトロニダゾールゲルの国内の治験に参加した130人を調べた研究では、平均年齢47.8歳、女性が82.3%で、この研究も製造販売会社の資金によるものです。東北大学の研究グループが診療記録を調べた研究では、340人の初診時の平均年齢が51.5歳、女性が266人でした。前者は中等症以上の治験参加者、後者は1つの大学病院の受診者で、国内全体を表す数字とは言えません。

ニキビと酒さの見るところを並べると、次のとおりです。

見るところ ニキビ 酒さ
面皰(白・黒の芯) ある(最初にできる) ない(ニキビ併存時を除く)
赤みの出方 ぶつぶつの周り・一時的 顔の中央に面で続く
ほてり・ヒリヒリ 定義には含まれない 主に頬に出やすい
出やすい場所 顔・胸・背中 眉間・頬・鼻・あご
始まりやすい年代 思春期以降(大人も) 主に中高年

両方が重なる人もいるため、最終的な判断は診察で行われます。まずは洗顔後の鏡で、ぶつぶつの周りに白や黒の芯があるか、ぶつぶつのない場所にも頬の赤みが広がっているかを見てみてください。

 

酒さは4つの型があり重なることもある

面皰と赤みの出方で見当がついたら、次は酒さそのものの全体像です。酒さは4つの型に分かれて単独でも混ざっても現れ、ニキビと紛らわしいのはそのうちの丘疹膿疱型です。型によって勧められる治療は大きく違い、ニキビでは説明のつかない目の症状も型の一つに含まれます。

この章のポイント
・ニキビに似るのは丘疹膿疱型の酒さ
・4つの型は混ざって出ることがある
・目の充血や乾きも酒さの症状の一つ

ガイドラインの推奨度は、Aが強く勧める、C1が選択肢の一つとして勧める、C2が根拠が十分でなく現時点では勧めない、という意味で、C2は禁止や無効を表すものではありません。ガイドラインの作成費用は日本皮膚科学会が負担しています。策定委員の一部はメトロニダゾールゲルの製造販売会社を含む製薬会社から講演料などを受けていますが、こうした利害関係のある委員は、関係する治療の推奨度の決定に加わっていません。型ごとの症状と、最も推奨度が高い治療は次のとおりです。

型 主な症状 ニキビとの紛らわしさ 最も推奨度が高い治療
紅斑毛細血管拡張型 赤み・細い血管・ほてり 低い(ぶつぶつが少ない) レーザー・光治療(C1)
丘疹膿疱型 赤いぶつぶつ・膿 高い(面皰はない) メトロニダゾールゲル(A)
瘤腫型・鼻瘤 鼻などの盛り上がり 低い C2の治療のみ
眼型 目の充血・乾き・目やに 該当しない 定まった治療なし

型は重なって現れることがあり、推奨度は一人ひとりの効果を約束するものではありません。

ニキビに似るのは丘疹膿疱型

ニキビと取り違えられやすい酒さは、赤いぶつぶつ(丘疹)と膿をもったぶつぶつ(膿疱)が主な症状の丘疹膿疱型です。

ガイドラインはこの型を、ニキビに似た丘疹・膿疱が主な症状で、面皰を伴わない型と定義しています。先述の合意声明は、ぶつぶつが皮脂腺の多い毛穴を中心にでき、血管の広がりを伴うことが多く、かゆみや灼熱感、ヒリヒリ感を伴うとしました。4つの型が混ざって現れること、ニキビが重なる人もいることから、酒さかニキビかの二択が当てはまらない場合もあります。

赤みと血管が主体の型と鼻が盛り上がる型

顔の赤みと細い血管が主体の紅斑毛細血管拡張型は、ぶつぶつが少ないため、ニキビとは見た目の違いがはっきりしています。

ただし、赤ら顔がすべて酒さとは限りません。先述の合意声明は、酒さの細い血管を、ステロイドの塗り薬による変化、紫外線による傷み、加齢による血管の広がりと区別すべきだとしました。

瘤腫型・鼻瘤は、鼻を中心に皮膚が盛り上がる型で、ニキビとは形がまったく異なり、ガイドラインではこの型への治療はいずれも推奨度C2です。

目の充血や乾きも酒さの症状

目の充血・乾き・目やにの増加はニキビでは説明がつかず、酒さを考える手がかりになります。

ガイドラインは眼型酒さを、酒さの炎症がまぶたの縁のマイボーム腺(涙の油分を出す腺)の周りに及んだものと説明し、赤み・充血・ドライアイ・目やにの増加をきたすとしています。眼型に対して合意の得られた治療方法は、現時点でないとされています。

 

酒さとニキビは治療薬も目標も違う

見分けの次は、治療の違いです。病名が変われば、使う薬・続ける期間・注意点、そして治療の目標が入れ替わります。先述の合意声明は、酒さの治療目標を完治ではなく、症状で日常生活が妨げられない状態を長く保つこととし、10人全員が賛成しました。

この章のポイント
・酒さの塗り薬はメトロニダゾールが中心
・飲み薬とレーザーは型と承認の範囲で選ぶ
・ニキビの塗り薬は刺激が出やすい

ガイドラインの推奨度と主な注意を、酒さとニキビで比べると次のとおりです。

薬 丘疹膿疱型の酒さ ニキビ 主な注意
メトロニダゾールゲル A 推奨の記載なし 妊娠3か月以内は不可・飲酒を避ける
イオウ・カンフルローション C2 C1 刺激で悪化しうる
テトラサイクリン系の飲み薬 C1(承認範囲外) A〜C1(成分で異なる) 妊娠中・8歳未満は注意
アダパレン・過酸化ベンゾイル 推奨の記載なし A 刺激症状が出やすい・アダパレンは妊娠中不可
ステロイドの塗り薬 推奨の記載なし C2 酒さ様皮膚炎の原因に

推奨度は一人ひとりの効果を約束するものではなく、どの薬を使うかは診察で決まります。

酒さの塗り薬はメトロニダゾールが中心

丘疹膿疱型の酒さで、ガイドラインが強く勧めている塗り薬は0.75%メトロニダゾールゲルです。

丘疹膿疱型で強く推奨される塗り薬

メトロニダゾールゲルは2022年5月に酒さへの使用が承認された処方薬で、保険診療で処方されます。承認とは、国が有効性と安全性を審査し、その病気への使用を認めることです。先述の治験では、18歳以上で中等症以上の130人をくじ引きで2つの群に分けて12週間比べ、ぶつぶつが半分を超えて減り赤みも1段階以上改善した人は、ゲルの群で72.3%、有効成分を含まないゲルの群で36.9%でした。

この試験は製造販売会社の資金で行われ、著者4人中2人が同社の社員です。説明書では、使い方は1日2回、使用期間は通常12週間までとされ、それを超えて使う場合は必要性を慎重に判断するよう求められています。赤みと細い血管が主体の紅斑毛細血管拡張型については、ガイドラインは一様に勧められる塗り薬はないとしています。

メトロニダゾールゲルを使えない人と使用中の注意

使ってはいけない人(禁忌)は、成分で過敏症を起こしたことがある人、脳や脊髄の病気で組織に傷や変化がある人(脳・脊髄の腫瘍の人を除く)、妊娠3か月以内の人です。授乳中は授乳しないことが望ましく、18歳未満での安全性は確かめられていません。先述の試験で治療に関連した副作用は9.2%で、接触皮膚炎などでした。説明書には乾燥・かゆみ・灼熱感・皮膚がむける症状のほか、手足のしびれなどが出る末梢神経障害、金属のような味などが記載されています。

紫外線で成分が変化して効果が弱まることがあるため、使用中は日光を避けます。また、アルコールの分解が妨げられ、腹痛や嘔吐、顔のほてりなどが出ることがあるため、使用期間中は飲酒を避けるよう求められています。

そのほかの塗り薬と国内の承認状況

国内で酒さに承認された塗り薬は、メトロニダゾールゲルとイオウ・カンフルローションの2つです。後者はニキビと酒さの両方に承認されていますが、推奨度は酒さにC2で、先述の合意声明は刺激で悪化しうるとしました。過敏症の既往がある人は使えず、赤み・発疹・皮膚炎が起こることがあり、目の周りには使いません。

アゼライン酸は、ガイドラインでは国内での根拠が乏しいとしたうえで丘疹膿疱型の選択肢の一つ(C1)とされていますが、国内では医薬品として承認されておらず、化粧品として販売されています。海外で酒さの塗り薬に使われるイベルメクチン・ブリモニジン・オキシメタゾリンも、国内では皮膚に塗る製剤が承認されておらず、酒さへの使用は国内未承認・保険適用外です。個人輸入などで自己判断で使うのは避け、化粧品も肌に合わなければ使用をやめて相談してください。

飲み薬とレーザーは型と承認の範囲で選ぶ

飲み薬は丘疹膿疱型、レーザー・光治療は赤みと細い血管が主体の型が主な対象で、どちらも承認と保険の範囲に注意が要ります。

テトラサイクリン系の飲み薬

ガイドラインは丘疹膿疱型の酒さに、ドキシサイクリン・ミノサイクリンなどの飲み薬を、国内での根拠が乏しいとしたうえで選択肢の一つ(C1)としています。ただし説明書が挙げる使える病気に酒さは含まれず、承認範囲外の使い方になるため、重い副作用が出た場合に医療費などを給付する医薬品副作用被害救済制度の対象にならないことがあります。

テトラサイクリン系の抗菌薬で過敏症を起こしたことがある人は使えません。妊娠中や妊娠の可能性がある人への使用は、治療で得られる利益が危険を上回ると医師が判断した場合に限られ、おなかの赤ちゃんの歯の着色や骨の発育に影響することがあるとされています。8歳未満の子どもでの歯の着色、日光で皮膚が過敏になる光線過敏症、ミノサイクリンの長期服用による皮膚や爪の色素沈着、耐性菌にも注意が要ります。ミノサイクリンはめまいが出ることがあるため、服用中は車の運転などを控えるよう求められています。

レーザー・光治療の承認と副作用

ガイドラインは紅斑毛細血管拡張型に、パルス色素レーザー(血液の赤い色に吸収される光で、細い血管を熱で固めるレーザー)、Nd:YAGレーザー(皮膚の深めまで届く波長のレーザー)、IPL(幅広い波長の光を肌に当てる治療)を選択肢の一つ(C1)とし、ぶつぶつへのレーザーはC2としています。パルス色素レーザーが保険診療の対象になるのは、単純性血管腫・苺状血管腫(いずれも赤あざの一種)と毛細血管拡張症の治療に限られ、それ以外の酒さの赤みへの照射や、見た目を整える目的だけの照射は保険適用外です。酒さは長く続く病気のため、照射で赤みが軽くなっても再び強まることがあり、効果にも個人差があります。

国内で承認されたパルス色素レーザーの使用目的は毛細血管拡張症などの血管病変の治療で、酒さそのものは書かれていません。IPLは機種によって国が認めた使用目的が異なります。キセノン光線治療器として認証(国が定めた基準に合っていることを、国に登録された機関が確かめる仕組み)や承認を受けた機種の使用目的は、温熱による血流改善や痛み・炎症の緩和で、赤みや細い血管の治療は含まれません。一方、皮膚疾患用光治療器として承認された機種には、細い血管による症状の改善を使用目的に含むものがあります。血管病変を使用目的に含む機器は、色素レーザー、一部のNd:YAGレーザー、一部のIPLで、受ける機器の使用目的は受診先で確かめられます。なお、医療機器は医薬品副作用被害救済制度の対象外です。

色素レーザーの説明書には、やけど・水ぶくれ・色素沈着・色が抜ける変化・傷あと・紫斑などが挙げられ、日焼けした肌や光線過敏症、ヘルペスの活動期には照射できません。Nd:YAGレーザーの説明書にも、やけど・水ぶくれ・色素の変化・傷あとなどが記載され、光線過敏症の人やヘルペスが活動している部位には照射できません。IPLの説明書にも、やけど・水ぶくれ・色素の変化・傷あとなどが記載され、機種によって、上まぶたや唇への照射のほか、ステロイド(塗り薬を含む)や血液を固まりにくくする薬を使っている人、肝斑がある部位への照射が禁じられています。照射後に赤みや水ぶくれが続いたときの連絡先と診察の体制は、事前に確かめておくと安心です。

ニキビの塗り薬は刺激が出やすい

ニキビの標準的な塗り薬は毛穴の詰まりと炎症に働き、乾燥やヒリヒリ感などの刺激が出やすいため、低刺激のケアが勧められる酒さの肌とは方向が合いません。

ガイドラインはアダパレンや過酸化ベンゾイルをニキビに強く勧めています(A)。アダパレンの説明書では皮膚乾燥56.1%、皮膚不快感47.6%、皮膚がむける症状33.5%、赤み21.9%が挙げられ、妊娠中や妊娠の可能性がある人は使えません。過酸化ベンゾイルでは皮膚がむける症状15.3%、赤み12.3%、刺激感11.4%で、過敏症の既往がある人は使えず、髪や衣類を漂白することがあります。

頻度は製剤ごとの試験の値で比べられず、酒さの人での値でもありません。酒さにはガイドラインも遮光と低刺激の洗顔料・保湿の指導を勧めており、両方がある場合は型と症状に合わせて医師が治療の順番を組み立てます。

 

自宅でのセルフチェックと受診の目安

治療の違いが分かると、診察の前に何を確かめておけばよいかも見えてきます。ここで紹介する手順と記録は一例で、病名を決めるためではなく、医師へ正確に伝えるためのものです。

この章のポイント
・芯の有無と赤みの出方を明るい光で見る
・悪化のきっかけを2週間書き留める
・目の症状と使った薬も医師に伝える

鏡の前で確かめる6つの手順

面皰と赤みの出方は、明るい自然光の下で順に見れば、自宅でもある程度確かめられます。手順の一例は次のとおりです。

  1. メイクを落として洗顔し、30分ほど置いてから窓際の自然光で鏡を見る
  2. 鼻・額・あご・頬の順に、毛穴に白や黒の小さな芯がないか探す
  3. 赤いぶつぶつの大きさを見て、芯のあるものとないものを分けて数える
  4. 赤みがぶつぶつの周りだけか、頬や鼻に面で広がり細い血管が透けるかを見る
  5. ほてり・ヒリヒリ・かゆみのある場所と、胸や背中のぶつぶつを確かめる
  6. 目の充血・乾き・目やにと、顔に使っている塗り薬の名前と期間を書き出す

同じ場所・同じ光で正面と左右の写真を撮っておくと、日ごとの変化を比べやすくなります。芯がなく面の赤みやほてりがあれば酒さ寄り、芯のあるぶつぶつが混ざればニキビか両方の重なり、顔に塗り薬を使っていれば酒さ様皮膚炎の可能性もありますが、いずれも受診時に見せる材料です。

悪化のきっかけを2週間記録する

酒さの悪化のきっかけは人によって違うため、一例として2週間ほど記録すると、自分のきっかけが見えてきます。ガイドラインも、悪化させる要因として紫外線、外気温の急な変化、刺激のある食べ物、アルコールを挙げています。

先述の治験参加者130人の自己申告では、温度変化が53.8%と最も多く、日光39.2%、暑さ35.4%、季節の変わり目30.0%が続き、激しい運動も上位5つに入りました。アルコールは23.1%、辛い食べ物は10.8%でした。先述の東北大学の研究でも寒暖差が41.5%で最多、日光は17.6%です。いずれも自己申告や診療記録に基づく数字で、きっかけの強さを比べたものではありません。

先述の合意声明も、国内の患者のきっかけとして、日光・寒暖差・強いストレスに加えて花粉と月経周期を挙げています。記録する項目の例は次のとおりです。

  • 日付と、赤み・ほてりの強さ
  • 屋内外の移動・入浴・運動などの温度差
  • 日差しを浴びた時間
  • 飲酒・熱い食べ物・辛い物
  • 花粉の飛散状況と月経周期
  • 使った化粧品と塗り薬

日光がきっかけの人には、低刺激の日焼け止めと帽子・日傘による対策が、合意声明で勧められています。

受診で伝えることと眼科受診の目安

観察の記録・写真・使ってきた薬を持参すると、診察で見分ける助けになります。伝えたいことは次のとおりです。

  • いつから、どこに出ているか
  • 面皰の有無の観察と写真
  • 悪化のきっかけの記録
  • 使ってきた薬と期間(ニキビの薬・ステロイドなどの塗り薬・市販薬)
  • 妊娠の可能性・授乳・持病と飲んでいる薬
  • 目の症状

赤みやほてりが続く、ニキビの薬やスキンケアで改善しない、塗り薬で赤みが強まった、といった場合は受診の目安です。目の充血・乾き・目やにがあれば、眼型の可能性を考えて眼科の受診も検討してください。治療中にかぶれや強い刺激、目の症状が出たときの連絡方法と、すぐ診察を受けられる体制も、最初に確かめておくと安心です。中学生・高校生など未成年の人は、治療の内容によって保護者の同意が必要になることがあるため、保護者と一緒に受診先へ確かめてください。

記録と写真、聞きたいことを1枚のメモにまとめ、受診の日に持参してみてください。

 

酒さとニキビについてよくある質問

受診前によく聞かれる質問に答えます。

酒さとニキビが同時にできることはありますか?

あります。酒さのぶつぶつには本来面皰がありませんが、ニキビが重なると芯のあるぶつぶつが混ざるため、医師が両方を見分けたうえで治療の順番を組み立てます。

酒さにニキビ用の市販薬を使ってもいいですか?

自己判断で使うのは避けたほうが安全です。ニキビの薬は刺激で赤みを強めることがあり、ステロイドを含む塗り薬は酒さに似た皮膚炎の原因にもなるため、受診して相談してください。

酒さは完治しますか?

国内の専門医の合意では、完治ではなく、症状で日常生活が妨げられない状態を長く保つことを治療の目標としています。塗り薬やスキンケア、悪化のきっかけの回避で症状のコントロールを目指します。

ニキビダニが酒さの原因ですか?

原因とは言い切れません。丘疹膿疱型でしばしば見つかりますが、国内の専門医の合意は見つかっても酒さとして治療するとし、ガイドラインもダニに対する飲み薬を勧める良質な根拠はないとしています。

酒さの塗り薬を使っている間、お酒は飲めますか?

メトロニダゾールゲルでは、使用期間中は飲酒を避けるとされています。精神症状や腹痛、嘔吐、顔のほてりが出ることがあるため、飲酒の予定がある場合は処方時に相談してください。

 

まとめ

酒さとニキビを見分けるいちばんの手がかりは、白や黒の芯(面皰)があるかどうかと、ぶつぶつのない日にも顔の中央に面で残る赤みです。ただし両方が重なる人もおり、顔に塗ったステロイドなどによる酒さに似た皮膚炎とも区別が要ります。使う薬や続ける期間、治療の目標も違うため、ニキビの薬やステロイドの塗り薬を自己判断で重ねないことが出発点になります。

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参考文献・出典

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  • Yamasaki K ほか「Perspectives on rosacea patient characteristics and quality of life using baseline data from a phase 3 clinical study conducted in Japan」J Dermatol(2022年)
  • Tan J ほか「Updating the diagnosis, classification and assessment of rosacea: recommendations from the global ROSacea COnsensus (ROSCO) panel」Br J Dermatol(2017年)
  • ロゼックスゲル0.75%、ディフェリンゲル0.1%、ベピオゲル2.5%、プロトピック軟膏0.1% 添付文書(マルホ株式会社)
  • イオウ・カンフルローション「東豊」添付文書(東豊薬品株式会社)
  • ビブラマイシン錠、ミノマイシン錠・カプセル 添付文書(ファイザー株式会社)
  • ロコイド軟膏0.1% 添付文書(鳥居薬品株式会社)
  • 皮膚良性血管病変治療用レーザー装置VbeamPrima、長期減毛・皮膚疾患用レーザー装置 GentleMax Pro、皮膚疾患・長期減毛用光治療器 Nordlys 添付文書(シネロン・キャンデラ株式会社)
  • オプティマス ルメッカ 添付文書(インモード・ジャパン株式会社)

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