痩せればほうれい線も消えるはず。ダイエットを決意したとき、そんな期待を抱く方は少なくありません。新年の目標として減量を掲げたり、薄着の季節に向けて体を絞ろうとしたり、久しぶりに会う人との予定を前に少しでも若く見られたいと考えたり。体重を落とせば顔まわりもすっきりして、気になるほうれい線も薄くなるのではないか。そう期待するのは自然なことでしょう。
しかし結論から述べると、ほうれい線が痩せることで改善するかどうかは人によって異なるというのが医学的な答えです。年齢、皮膚の状態、減量のペース、そしてほうれい線の原因によって結果は大きく変わります。20代前半であれば改善の可能性がある一方、30代以降では痩せたのに老けて見えるという逆効果を招くケースも珍しくありません。
ここでは、形成外科や皮膚科学の研究データに基づき、ダイエットとほうれい線の関係を解剖学的な視点から解説します。自分のほうれい線が痩せれば消えるタイプなのか、悪化するリスクがあるタイプなのかを見極めるセルフチェック法、そして顔のハリを守りながら減量するための具体的なアプローチまで、順を追って整理していきます。

国立熊本大学医学部を卒業。国内大手美容クリニックなどで院長を歴任し、2023年アラジン美容クリニックを開院。長年の実績とエイジングケア研究で博士号取得の美容医療のプロ。「嘘のない美容医療の実現へ」をモットーに、患者様とともに「オンリーワン」を目指す。
ほうれい線は痩せると消える?医学的な答えと条件
ダイエットを始める前に、まず知っておきたいのが医学的な事実です。ほうれい線が痩せることで改善するかどうかは、年齢や皮膚の状態、減量のスピードによって大きく異なります。ここでは、改善が期待できる人と悪化リスクがある人の違いを、研究データをもとに整理していきます。
~この章のポイント~
・20代前半までは改善の可能性あり
・30代以降は悪化リスクが高まる
・減量ペースが結果を左右する
痩せるとほうれい線が消える可能性がある人
結論から述べると、ダイエットでほうれい線が改善する可能性があるのは、主に20代前半までの方です。この年代は真皮層のコラーゲンやエラスチン線維が豊富で、皮膚の収縮能力が高い状態にあります。そのため、脂肪が減っても皮膚がある程度追いついてくれるのです。
また、ほうれい線の原因が皮下脂肪の厚みによる影である場合も、改善が見込めます。頬の脂肪がふっくらしていると、その重みや厚みでほうれい線が強調されることがあります。このタイプであれば、適切なペースで減量することで線が薄くなる可能性があるでしょう。
ただし、ここで強調しておきたいのは急激ではない、適切なペースでの減量という条件です。週1kg以上のハイペースで体重を落とすと、皮膚の収縮が追いつかず、たるみを生じさせる原因になります。若い年代であっても、減量方法を間違えれば逆効果になりかねません。
痩せるとほうれい線が悪化する可能性がある人
一方、30代以降、特に40歳を超えてからの急激な減量は、ほうれい線を悪化させるリスクが高くなります。この年代になると皮膚の弾力性が低下しているため、脂肪が減った分だけ皮膚が余ってしまい、たるみやシワとして顔に現れやすくなるのです。
悪化リスクを高める要因としては、急激な体重減少(週1kg以上、月4kg以上)、長期間にわたる肥満歴、喫煙習慣、紫外線による皮膚ダメージの蓄積などが挙げられます。これらの要因が重なるほど、減量後に顔がやつれた印象になりやすいといえるでしょう。
実際、Couto et al.の研究では、大幅な体重減少を経験した患者は同年代の非減量群と比較して平均5.1年老けて見えるという報告があります。痩せて健康になったはずなのに、見た目年齢が上がってしまうというのは、多くの方にとって想定外の結果ではないでしょうか。
年代別に見る皮膚弾力性の変化
なぜ年齢によってこれほど結果が異なるのか。その背景には、コラーゲン産生能力の加齢変化があります。American Academy of Dermatology(AAD)によると、皮膚のコラーゲン産生能力は20代半ばをピークに、年間約1〜1.5%ずつ減少していくとされています。
この数字は一見わずかに思えるかもしれません。しかし、30歳から50歳までの20年間で単純計算すると、20〜30%ものコラーゲンが失われる計算になります。コラーゲンは皮膚の弾力性を支える主要なタンパク質ですから、この減少が皮膚の収縮力低下に直結するのです。
30代以降になると、皮膚の伸縮性よりも脂肪の減少スピードが勝ってしまう傾向があります。つまり、脂肪が減るペースに皮膚の収縮が追いつかず、結果として余った皮膚がたるみやほうれい線の深化として現れるわけです。
以下の表は、年代別の皮膚状態と減量リスクの目安をまとめたものです。
| 年代 | コラーゲン産生能力 | 皮膚の収縮力 | 減量による悪化リスク |
|---|---|---|---|
| 20代前半 | ピーク〜やや低下 | 高い | 低い |
| 20代後半 | 低下し始める | やや高い | やや低い |
| 30代 | 年1〜1.5%減少 | 中程度 | 中程度 |
| 40代以降 | 累積的に低下 | 低い | 高い |
この表はあくまで一般的な傾向であり、個人差があることは念頭に置いてください。同じ年齢でも、日頃の紫外線対策やスキンケア習慣、喫煙の有無などによって皮膚の状態は大きく異なります。
自分がどちらのタイプに当てはまるのか気になる方は、次章で紹介するセルフチェック法を試してみてください。仰向けになったときのほうれい線の変化や、皮膚をつまんだときの戻り具合から、ある程度の傾向を把握することができます。
なぜダイエットでほうれい線が悪化するのか?解剖学が示す3つのメカニズム
前章では、年齢や皮膚の状態によってダイエット後のほうれい線が改善するか悪化するかが分かれることを解説しました。では、なぜ痩せることでほうれい線が深くなってしまうのでしょうか。この章では、形成外科の研究に基づき、顔の構造という視点からそのメカニズムを掘り下げていきます。
~この章のポイント~
・顔の脂肪は複数の区画に分かれている
・深部脂肪の減少が土台崩れを招く
・加齢による骨の萎縮も影響する
深部脂肪の減少による土台崩れ
顔の脂肪は一枚岩のように存在しているわけではありません。形成外科医Rohrich博士らの研究(Plast Reconstr Surg. 2007)によると、顔の脂肪は複数の独立した区画、いわゆるfat compartmentsに分かれていることが明らかになっています。この研究は発表から17年以上経過していますが、顔面解剖学の基礎知見として現在も広く引用されています。
顔の脂肪は大きく分けて、皮膚のすぐ下にある浅い脂肪と、骨や筋肉の上に位置する深い脂肪の2層構造になっています。浅い脂肪は顔のふっくらとした印象を作り出す役割を担い、深い脂肪は顔全体を内側から支える土台として機能しています。
問題は、過度なカロリー制限や急激なダイエットを行うと、この深い脂肪まで減少してしまうことです。土台となる脂肪が失われると、その上に乗っている組織全体が下方へ落ち込み、結果としてほうれい線が深く刻まれる形になります。
GLP-1受容体作動薬による急激な減量でも、頬や側頭部の脂肪パッドが大幅に減少するという予備的な報告があり、この現象はOzempic faceという俗称で知られるようになりました。
支持靭帯の機能低下
顔には皮膚と骨をつなぐ支持靭帯と呼ばれる組織が存在します。この靭帯は顔の各部位を適切な位置に固定する役割を果たしており、特に頬骨靭帯、咬筋靭帯、下顎靭帯などが顔の輪郭維持に関わっています。
Brandt et al.(2012)の研究では、興味深い知見が報告されています。靭帯そのものの寸法や生体力学的特性は、年齢や性別によって有意な差がなかったというのです。つまり、靭帯自体が加齢で弱くなるわけではないということになります。
では、なぜ靭帯の機能低下が起こるのでしょうか。それは周囲の組織が変化することで、靭帯の相対的な機能が低下するためです。後述する骨の後退により靭帯の付着点が後方へ移動すること、そして脂肪の減少により靭帯が支えるべき組織のバランスが崩れることが原因と考えられています。
イメージとしては、テントのロープと支柱の関係に近いかもしれません。ロープ自体は丈夫でも、支柱が短くなったり、テント生地が薄くなったりすれば、全体の張りは失われてしまいます。顔の靭帯も同様に、周囲の構造変化の影響を受けて機能を十分に発揮できなくなるのです。
骨の萎縮による物理的な窪み
加齢による顔の変化は、皮膚や脂肪だけでなく骨にも及びます。Shaw、Pessa らのCT画像研究により、顔面骨の特定部位が加齢とともに吸収されることが明らかになっています。
特に影響を受けやすいのは以下の部位です。梨状口と呼ばれる鼻の横の骨は加齢とともに拡大し、後退していきます。上顎骨は前方への突出が減少し、眼窩(目の周りの骨)は拡大する傾向があります。これらの変化は、顔の土台そのものが縮小していくことを意味しています。
梨状口が拡大・後退すると、上唇と鼻の横の組織を支える棚のような構造が小さくなります。その結果、軟部組織が下方へ垂れ下がりやすくなり、ほうれい線の溝が物理的に深くなっていくのです。
以下の表は、顔の老化に関わる3つの構造変化をまとめたものです。
| 構造 | 加齢による変化 | ほうれい線への影響 |
|---|---|---|
| 深部脂肪 | 減少・萎縮 | 土台が崩れ、組織が下垂 |
| 支持靭帯 | 周囲組織の変化で相対的に機能低下 | 組織の固定力が弱まる |
| 顔面骨 | 梨状口の拡大、上顎骨の後退 | 支える棚が縮小し溝が深化 |
この3つの変化は、加齢とともに自然に進行するものです。そこに急激なダイエットが加わると、脂肪の減少だけが加速し、皮膚や靭帯の適応が追いつかなくなります。結果として、骸骨のような痩せこけた印象が強まってしまう可能性があるのです。
ここまでの内容を踏まえると、ダイエットでほうれい線を悪化させないためには、脂肪だけでなく顔全体の構造を意識したアプローチが必要だということが見えてきます。次章では、自分のほうれい線がどのタイプに該当するのかを判断するためのセルフチェック法を紹介します。鏡を用意して、実際に確認してみてください。
セルフチェックで見極める!ほうれい線の脂肪型とたるみ型
前章では、ダイエットでほうれい線が悪化するメカニズムを解剖学的な視点から解説しました。では、自分のほうれい線は痩せれば改善するタイプなのか、それとも悪化するリスクが高いタイプなのか。
ここでは、自宅で簡単にできる2つのセルフチェック法を紹介します。鏡を手元に用意して、実際に試しながら読み進めてみてください。
~この章のポイント~
・仰向けで重力の影響を確認できる
・皮膚の戻り具合で弾力性がわかる
・タイプ別に推奨される対策が異なる
仰向けチェック法で重力の影響を確認する
最初に紹介するのは、仰向けになったときのほうれい線の変化を観察する方法です。手鏡を用意して、ベッドや床に仰向けに寝た状態で自分の顔を確認してみてください。仰向けになると、普段は下向きにかかっている重力の方向が変わります。立っているときや座っているときには、顔の組織は常に下方へ引っ張られていますが、仰向けになることでその力が軽減されるのです。
このときのほうれい線の見え方によって、おおよそのタイプを判断できます。仰向けになるとほうれい線がほぼ消える、または明らかに薄くなる場合は、たるみ要素が強いタイプと考えられます。重力による組織の下垂が主な原因であるため、痩せても改善しにくく、むしろ悪化するリスクがあるでしょう。
一方、仰向けになってもほうれい線があまり変わらない場合は、脂肪の厚みや皮膚そのものの状態が主な原因と考えられます。このタイプであれば、適切なペースでの減量によって改善する可能性があります。ただし、年齢や皮膚の弾力性によっても結果は異なるため、次のチェック法も合わせて行ってみてください。
皮膚つまみテストで弾力性を確認する
2つ目は、頬の皮膚をつまんで弾力性を確認する方法です。頬骨の下あたりの皮膚を親指と人差し指で軽くつまみ、離したときの戻り具合を観察します。
皮膚をつまんで離したとき、すぐに元の状態に戻り、弾力を感じられる場合は、皮膚の収縮力がまだ保たれている状態です。この場合、減量しても皮膚がある程度追いついてくれる可能性があります。反対に、つまんだ皮膚がゆっくりと戻る、あるいは薄くてハリがないと感じる場合は、皮膚弾力の低下が進んでいる状態といえます。このタイプは減量による悪化リスクが高く、痩せることで顔がやつれた印象になりやすいでしょう。
このテストはあくまで簡易的なものですが、皮膚のコラーゲンやエラスチンの状態をおおまかに把握する手がかりになります。特に30代後半以降の方は、このテストの結果を減量計画の参考にしてみてください。
タイプ別診断と推奨される対策
2つのセルフチェックの結果を組み合わせることで、自分のほうれい線がどのタイプに近いかを判断できます。以下の表は、チェック結果と年齢、皮膚の状態をもとにしたタイプ分類と、それぞれに推奨される対策をまとめたものです。
| チェック項目 | 脂肪型 | たるみ型 | 混合型 |
|---|---|---|---|
| 仰向け時の変化 | あまり変わらない | かなり薄くなる・消える | やや薄くなる |
| 皮膚の戻り具合 | すぐ戻る・弾力あり | ゆっくり戻る・薄い | 中程度 |
| 年齢の目安 | 20代前半まで | 30代後半以降 | 20代後半〜30代前半 |
| 体重増加歴 | 短期間(数ヶ月〜1年) | 長期間(5年以上) | 数年程度 |
| 推奨対策 | 適切なペースの減量 | 減量+医療的ケア検討 | 慎重な減量計画 |
脂肪型に該当する場合
脂肪型に該当する場合は、週0.5〜1kg程度の緩やかなペースを守れば、ダイエットによるほうれい線改善が期待できます。ただし、急激な減量は避け、タンパク質摂取や筋トレを組み合わせることで、より良い結果につながるでしょう。皮膚の弾力が保たれているうちに適切な減量を行うことで、顔のハリを維持しながら痩せられる可能性が高いタイプです。
たるみ型に該当する場合
たるみ型に該当する場合は、単純な減量だけでは改善が難しく、むしろ悪化するリスクがあります。減量を行う場合はより慎重なペース設定が必要であり、スキンケアや美容医療によるサポートを並行して検討する価値があるでしょう。第5章で紹介する医療的アプローチも選択肢として視野に入れておくことをおすすめします。
混合型に該当する場合
混合型の場合は、両方の要素が絡み合っているため、まずは緩やかなペースで減量を始め、顔の変化を注意深く観察しながら進めることをおすすめします。減量開始から1〜2ヶ月経過した時点で顔のたるみが気になり始めたら、ペースを落とすか、専門家への相談を検討してみてください。焦らず、自分の顔の反応を見ながら調整していくことが大切です。
セルフチェックの限界について
ここで注意しておきたいのは、このセルフチェックはあくまで目安であり、正確な診断には医師の診察が必要だという点です。特にたるみ型や混合型に該当した場合、あるいは判断に迷う場合は、自己判断で減量を進める前に専門家の意見を聞くことをおすすめします。
自分のタイプがわかったところで、次章では具体的なダイエット方法について解説します。顔のハリを守りながら減量するための5つのステップを、実践しやすい形で紹介していきます。
顔のハリを守りながら減量する5つのステップ
前章のセルフチェックで自分のタイプを把握したところで、具体的な減量方法について考えていきましょう。脂肪型と判定された方も、混合型の方も、やみくもに体重を落とすのではなく、顔のハリを守りながら減量することが求められます。
ここでは、皮膚のたるみを最小限に抑えながら減量するための5つのステップを紹介します。
~この章のポイント~
・減量ペースは週0.5〜1kgが目安
・タンパク質とビタミンCで皮膚の材料を確保
・筋トレと紫外線対策で土台を守る
ステップ1|減量ペースを週0.5〜1kgに設定する
急激な減量は顔のたるみを招く最大の要因です。CDC(米国疾病予防管理センター)が推奨する安全な減量ペースは週に1〜2ポンド、つまり約0.5〜0.9kgとされています。このペースを守ることで、皮膚が収縮に追いつく時間を確保できます。
月に換算すると2〜4kg程度の減量が目安となります。これ以上のペースで減量を進めると、皮膚の弾力回復が追いつかず、結果として顔のたるみやほうれい線の悪化につながる可能性があります。体重計の数字だけを追いかけるのではなく、鏡で顔の状態を確認しながら進めることをおすすめします。
ステップ2|タンパク質摂取で皮膚の材料を確保する
減量中は食事量が減るため、意識しないとタンパク質が不足しがちになります。タンパク質は筋肉だけでなく、皮膚のコラーゲンを作る材料でもあります。特にグリシン、プロリン、ヒドロキシプロリンといったアミノ酸がコラーゲン合成に関わっているため、減量中こそ十分な摂取を心がけたいところです。
減量中の筋肉維持を目的とする場合、複数の研究やメタ分析を参考にすると、体重1kgあたり1.2〜1.6g程度のタンパク質摂取が一つの目安とされています。なお、International Society of Sports Nutrition(ISSN)では運動する個人に対して1.4〜2.0g/kg/日を推奨しており、減量中はさらに高い摂取量が有効とする研究もあります。体重60kgの方であれば、1日あたり72〜96g程度が最低限の目安となるでしょう。鶏肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などをバランスよく取り入れてみてください。
また、コラーゲン合成にはビタミンCが必須の補酵素として働きます。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」における成人の推奨量は1日100mgとされており、柑橘類、ブロッコリー、パプリカなどから摂取するとよいでしょう。タンパク質とビタミンCを組み合わせることで、皮膚の材料供給と合成促進の両面からアプローチできます。
ステップ3|筋トレで顔の土台を支える
第2章で解説したように、顔の深部脂肪は土台として機能しています。この土台を支える筋肉を鍛えることで、減量中の顔のたるみを軽減できる可能性があります。
Scientific Reports(2023年)に掲載されたNishikoriらの研究では、興味深い結果が報告されています。日本人女性61人を対象とした16週間のランダム化比較試験において、レジスタンストレーニングを行ったグループで皮膚弾力性の改善と真皮厚みの増加が確認されました。この研究は顔に対する直接的なトレーニング効果を検証したものではありませんが、全身の筋トレが皮膚の質に影響を与える可能性を示唆しています。
特に下半身や体幹の大きな筋肉を鍛えるスクワット、デッドリフト、プランクなどの種目は、成長ホルモンの分泌を促すとされています。成長ホルモンは皮膚のコラーゲン合成にも関与することから、間接的に顔のハリ維持に貢献する可能性があります。週2〜3回、1回30分程度の筋トレを減量と並行して行うことを検討してみてください。
ステップ4|スキンケアでコラーゲン合成を促す
外側からのアプローチとして、コラーゲン合成を促す成分を含むスキンケアも有効です。なかでもレチノール(ビタミンA誘導体)は、複数のランダム化比較試験でコラーゲン産生促進効果が確認されている成分です。
レチノールは表皮のターンオーバーを促進するとともに、真皮の線維芽細胞に働きかけてコラーゲンの産生を促すとされています。ただし、使用初期には赤みや皮むけといった反応が出ることがあるため、低濃度の製品から始め、徐々に肌を慣らしていくことが推奨されます。また、レチノール使用中は紫外線感受性が高まるため、日中の紫外線対策が必須となります。
市販のレチノール配合化粧品は濃度が0.01〜0.1%程度のものが多く、初心者はこの範囲から始めるとよいでしょう。より高濃度の製品や医療用のトレチノインについては、皮膚科医に相談することをおすすめします。
ステップ5|紫外線対策で分解を防ぐ
コラーゲンを作ることと同時に、分解を防ぐことも欠かせません。紫外線はコラーゲンを分解する酵素(MMP:マトリックスメタロプロテアーゼ)の産生を促進することが知られており、日常的な紫外線曝露が皮膚の老化を加速させます。
日焼け止めはSPF30以上、PA+++以上のものを選び、外出時だけでなく室内でも窓からの紫外線を考慮して使用することが望ましいとされています。また、2〜3時間おきの塗り直しが推奨されていますが、難しい場合はパウダータイプやスプレータイプを活用すると手軽です。
帽子や日傘、サングラスといった物理的な遮蔽も効果的です。減量期間中は特に、せっかく合成したコラーゲンを紫外線で壊さないよう、普段以上に意識して対策を行いましょう。
セルフケアで限界を感じたら?医療的アプローチという選択肢
前章で紹介した5つのステップを実践しても、年齢や皮膚の状態によっては思うような効果が得られないこともあります。特にたるみ型や混合型と判定された方、あるいは40代以降で皮膚の弾力低下が進んでいる方は、セルフケアだけでは限界を感じる場面があるかもしれません。
ここでは、そうした場合の選択肢として、美容医療で行われている代表的な施術について概要を整理します。
~この章のポイント~
・たるみ改善には引き締め系の施術がある
・ボリューム補填にはヒアルロン酸注入がある
・脂肪へのアプローチも複数の方法がある
たるみ改善を目指す引き締め系施術
皮膚のたるみが主な原因となっている場合、真皮層や筋膜(SMAS層)に熱エネルギーを与えてコラーゲンの収縮や新生を促す施術が選択肢となります。代表的なものとして、HIFU(高密度焦点式超音波)やRF(ラジオ波)を用いた機器による治療があります。
HIFU(高密度焦点式超音波)
HIFUは超音波エネルギーを皮膚の深部に集中させ、筋膜レベルからの引き締めを目指す施術です。メスを使わずにリフトアップ効果を得られる可能性があることから、ダウンタイムを抑えたい方に選ばれることが多いようです。効果の持続期間は個人差がありますが、一般的に6ヶ月〜1年程度とされています。
RF(ラジオ波)
RFは高周波の熱エネルギーを用いて真皮層のコラーゲンに働きかける施術です。HIFUと比較すると作用する深さが浅い傾向にありますが、複数回の施術を重ねることで効果を高めていくアプローチが取られることもあります。
これらの施術は、たるみの程度が軽度から中等度の場合に適応となることが多く、重度のたるみには外科的な手術が検討されることもあります。費用は機器の種類や照射範囲によって異なりますが、顔全体で1回あたり5〜20万円程度が目安となるでしょう。
失われたボリュームを補うヒアルロン酸注入
第2章で解説したように、加齢やダイエットによって深部脂肪が減少すると、顔の土台となるボリュームが失われ、ほうれい線が目立ちやすくなります。こうした場合に検討されるのが、ヒアルロン酸を注入してボリュームを補う方法です。
ヒアルロン酸の特徴
ヒアルロン酸はもともと人体に存在する成分であり、注入後は徐々に体内に吸収されていきます。効果の持続期間は使用する製剤や注入部位によって異なりますが、一般的に6ヶ月〜1年半程度とされています。
ほうれい線そのものに直接注入するだけでなく、頬骨付近やこめかみなど、ボリュームが減少している部位に注入することで、顔全体のバランスを整えるアプローチが取られることもあります。
注意すべきリスク
ヒアルロン酸注入は比較的手軽な施術として知られていますが、注入技術によって仕上がりに差が出やすいともいわれています。また、まれに血管閉塞などの合併症が報告されているため、解剖学的知識と経験を持った医師のもとで受けることが望ましいでしょう。
脂肪へのアプローチ|溶解注射と外科的除去
脂肪型のほうれい線、つまり頬の脂肪が厚いことが原因となっている場合には、脂肪そのものを減らすアプローチも選択肢となります。代表的な方法として、脂肪溶解注射とバッカルファット除去があります。
脂肪溶解注射
脂肪溶解注射は、デオキシコール酸などの成分を含む薬剤を皮下に注入し、脂肪細胞を減少させる施術です。メスを使わないため比較的手軽に受けられますが、効果を実感するまでに複数回の施術が必要となることが多く、効果の程度にも個人差があります。1回あたり3〜5万円程度で、3〜5回程度の施術が目安とされています。
バッカルファット除去
バッカルファット除去は、口の内側を小さく切開して頬の深部にある脂肪塊(バッカルファット)を取り出す外科的な施術です。脂肪溶解注射よりも確実に脂肪量を減らすことができますが、一度取り除いた脂肪は戻らないため、将来的な顔の変化も考慮した上で判断する必要があります。
適応の判断について
どちらの方法も、脂肪を減らしすぎると頬がこけた印象になるリスクがあるため、適応の判断は慎重に行われます。特にたるみ要素が強い場合や、30代後半以降で皮膚弾力が低下している場合には、脂肪を減らすことでかえってたるみが目立つ可能性もあります。以下の表は、ここまで紹介した施術の特徴を比較したものです。
美容医療の施術は、それぞれにメリットとリスクがあり、同じ施術でも個人の状態によって適応が異なります。また、効果の感じ方にも個人差があり、期待通りの結果が得られないこともあり得ます。そのため、施術を検討する際には、複数のクリニックでカウンセリングを受け、自分の状態に合った方法を医師と相談しながら選ぶことをおすすめします。
ほうれい線の改善には、セルフケアと医療的アプローチを組み合わせることで、より効果的な結果が期待できることもあります。まずは前章までで紹介したセルフケアを実践しながら、必要に応じて専門家への相談を検討してみてください。
まとめ
ほうれい線は、単純に痩せれば消える、太れば目立つというものではありません。顔の老化は皮膚、脂肪、靭帯、骨という複数の層が複雑に絡み合って進行するため、体重だけを指標にしたダイエットでは期待した結果が得られないことがあります。場合によっては、かえって老けた印象を強めてしまうリスクもあるでしょう。
本記事で解説したように、30代以降で減量を考えている場合は週0.5〜1kg程度の緩やかなペースを守ること、タンパク質やビタミンCなど肌の材料となる栄養素を十分に摂ること、そして筋トレを組み合わせて内側からのボリュームを維持することが欠かせません。セルフチェックでたるみ型や混合型に該当した場合は、減量と並行してスキンケアや医療的なアプローチを検討する価値があるでしょう。
ただし、自己判断には限界があります。自分のほうれい線がどのタイプなのか、どの程度の減量なら許容範囲なのか、医療的な介入が必要なのか。こうした判断は顔の解剖学に精通した医師でなければ難しい部分も多いものです。ダイエットを始める前、あるいは減量後に顔の変化が気になり始めた段階で、一度専門のクリニックで相談してみることをおすすめします。
アラジン美容クリニックでは、美容医療および美容皮膚における長年の経験や博士号を持つ知見より、出逢う皆様のお一人ひとりに最適な施術を提供する「オンリーワン」を目指すカウンセリングを実施し、余計な情報や提案をせず、「ウソのない」美容医療で、必要な施術のみをご提案しております。
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