ハイフでたるみは悪化する?その真実と原因となるポイントや対策法を解説

美容皮膚

ハイフ(HIFU:高密度焦点式超音波)とは、超音波を皮膚の一点に集束させて熱凝固点をつくり、コラーゲン新生を促すことでたるみの引き締めを目指す施術です。適切な適応と施術であれば引き締め効果が期待できる一方、脂肪の減らしすぎ・照射部位や深度のミスマッチ・過度な頻度という特定の条件下では、たるみが悪化したように見える状態が生じることがあります。

こうしたトラブルは公的機関にも報告されており、消費者安全調査委員会が2023年に公表した報告書によれば、2015年11月から2022年12月の間にHIFU関連の事故情報が135件記録されています。ただし「悪化」と感じる状態には性質の異なる3つのパターンが混在しており、一時的なむくみや腫れによる誤認、脂肪減少による構造的な変化、適応や技術に起因するミスマッチを切り分けて理解することが、適切な対処への第一歩になります。

ここでは医師監修のもと、「悪化」の正体とその仕組みから、主な原因・悪化しやすい人の特徴・受ける前の確認事項・すでに悪化が気になる方への対処まで、順を追って解説します。施術を検討中の方にも、受けた後に不安を感じている方にも、判断の根拠となる情報を提供することを目指しています。

 

ハイフでたるみが悪化するのは本当か

「ハイフでたるみが悪化することはあるのか」という問いへの答えは、「特定の条件下では起こりうる」というものです。ただし一口に「悪化」といっても、一時的な腫れやむくみによる誤認と、脂肪減少など構造的な変化によるものとでは、性質も対処もまったく異なります。

まずハイフの仕組みを整理したうえで、悪化の正体を3つのパターンに切り分けて理解しておくことが判断の基礎になります。

この章のポイント
・特定条件下でたるみが悪化して見えることはある
・悪化に見える状態には性質の異なる3パターンがある
・一時的反応と持続的変化の見極めが対処の分岐点

ハイフの仕組みと効果の持続期間

ハイフは超音波を皮膚深部の一点に集束させ、約60〜75℃の「熱凝固点」をつくる施術です。熱を受けた組織がコラーゲンを新たに生成することで引き締め効果が期待されますが、一般的に効果は施術後3か月〜1年程度で減弱するとされています(機種・個人差あり)。

施術に使われるカートリッジの深度は機種によって異なりますが、一般的に1.5mm(真皮層)・3.0mm(皮下脂肪層)・4.5mm(「SMAS筋膜」層)を打ち分けられる機種が広く用いられています。SMAS(表在性筋膜システム)は顔の筋膜と皮膚をつなぐ層であり、ここへの照射がフェイスラインの引き上げに寄与するとされています。

熱を受けた脂肪細胞は約2〜3週間かけて縮小・排出されるとされており、この過程で顔の輪郭に変化が生じることがあります。加えて、加齢に伴う真皮コラーゲンの自然減少も並行して進むため、施術後数か月で感じる変化が施術だけに起因するとは一概に言えません。

「悪化」と感じる3つのパターン

ハイフを受けたあとにたるみが悪化したと感じる状態は、脂肪減少・適応や技術のミスマッチ・一時的反応の誤認という3種類に大別されます。それぞれ性質と対処法が異なるため、自分の状態がどれに近いかを見極めることが先決です。

脂肪減少による相対的たるみ

ハイフの熱が皮下脂肪層に作用し、脂肪細胞が一部減少することで皮膚の土台がゆるみ、相対的なたるみが生じます。脂肪は皮膚を内側から支える役割を担っており、この量が減ることで頬がこけて見えたり、フェイスラインがゆるんで見えたりすることがあります。

頬部やこめかみなどもともと脂肪量が少ない部位では、こうした変化が顕在化しやすいとされています。

適応・技術のミスマッチ

適応が合わない状態や誤った照射設定で施術した場合、組織バランスが変化して見た目が悪化したように感じられることがあります。

たるみの原因は脂肪下垂・皮膚弛緩・SMAS筋膜のゆるみなど複数あり、それぞれに適した治療法は異なります。骨格性のたるみや重度の皮膚弛緩は、ハイフ単独での改善が期待しにくいケースとされています。

一時的な反応の誤認

施術後の「ダウンタイム」期間(数日〜2週間程度)に生じる腫れやむくみを、永続的な悪化と誤認するケースがあります。施術後しばらくは顔がむくんで見えたり、腫れが引く過程でたるんで見えたりするため、この時期の変化を悪化と判断するのは早計です。

経過とともに自然に落ち着く可能性があるため、変化に気づいたタイミングと施術日の関係を確認することが判断のポイントとなります。

一時的な腫れ・むくみとの見分け方

一時的な反応かどうかは、変化の出現時期と持続期間で判断できることが多いです。施術後数日〜2週間程度に現れる腫れやむくみは一般的なダウンタイムの範囲内であり、多くの場合自然に落ち着きます。一方、施術から1か月以上が経過しても頬のこけや輪郭の変化が続いている場合は、持続的な変化として対処を検討する目安になります。

施術後の変化が一時的なものか持続的なものかを見極める際の目安を以下に示します。

区分 主な症状 出現時期 続く期間 対応
一時的な反応 腫れ・むくみ・赤み・熱感 施術当日〜数日 数日〜2週間程度 経過観察
持続的なたるみ変化 頬こけ・輪郭ゆるみ・ほうれい線深化 施術後数週〜数か月 1か月以上継続 医師への相談

一時的な反応であれば経過観察と日常的なスキンケアで対応できますが、持続的な変化の場合は自己判断での改善に限界があります。医師に現状を診てもらうことで、変化の原因が脂肪減少による構造的変化なのか適応のミスマッチなのかが明確になり、対処の方向性が定まります。変化が気になり始めたタイミングでの早めの相談が、状態の長期化を防ぐ観点からも有効とされています。

 

たるみ悪化を招く主な原因

前章でたるみ悪化には3つのパターンがあることを確認しましたが、それぞれのパターンには具体的な原因が伴います。悪化につながる主な原因は、皮下脂肪の減らしすぎ・照射部位や深度・出力の誤り・施術頻度の詰めすぎの3点に整理できます。

どの原因がどのような変化をもたらすかを把握しておくと、施術前の確認や医師への相談の場面で判断の根拠になります。

この章のポイント
・最多原因は皮下脂肪の減らしすぎ
・部位・深度・出力の誤りが見た目を変える
・短期間の繰り返し照射でコラーゲンが弱まる

皮下脂肪の減らしすぎ(最も多い原因)

脂肪を減らしすぎることが、ハイフ後のたるみ悪化で最もよく見られる原因とされています。ハイフの熱は皮下脂肪層に届く深度(3.0mm)でも照射されるため、脂肪細胞が一定量減少することで顔のボリュームが失われることがあります。

ここで問題になるのは、顔の脂肪が単に痩せて見えるだけでなく、皮膚を下から支える土台が薄くなることです。土台が減少した分だけ皮膚が重力方向に落ちやすくなり、頬の肉が下方へ移動してほうれい線や「マリオネットライン」(口角から顎にかけて伸びる縦じわ)が深くなって見えることがあります。こめかみや頬骨下など脂肪が少ない部位は、こうした変化が顕在化しやすいとされています。

もともと頬の脂肪量が少ない痩せ型の方や、加齢で顔のボリュームが落ちてきた方では、同じ出力・ショット数でも脂肪減少の影響が顔全体の印象に出やすい傾向があります。皮下脂肪の絶対量が少ない場合、ハイフの熱による減少が比率として大きくなるためです。こうした方が施術を検討する際は、照射エネルギーや対象部位を通常より慎重に設定することが求められます。

照射部位・深度・出力の誤り

適切でない部位・深度・出力で照射した場合、脂肪のバランスが崩れて皮膚が下方へ流れやすくなることがあります。顔の上半分(こめかみ・頬骨上部)の脂肪が減りすぎると、その部位を支える力が弱まり、相対的に顔の下方向へのたるみが強調されることがあります。

深度の設定も結果に影響します。1.5mmは真皮層・3.0mmは皮下脂肪層・4.5mmはSMAS筋膜層にそれぞれ作用しますが、たるみのタイプに応じた適切な深度を選択しなければ、引き締め効果よりも脂肪減少の影響が前面に出るケースがあります。皮下脂肪が薄い部位に3.0mmカートリッジを過剰に使用すると、局所的な凹みにつながることもあるとされています。

出力(ショット数・1ショットあたりのエネルギー)についても同様で、標準的な設定が個人の顔の状態に合っているとは限りません。脂肪量・皮膚の厚み・たるみの程度は人によって異なり、これらを考慮した個別設計なしに画一的な出力で施術すると、意図しない部位への影響が生じることがあります。

施術頻度の詰めすぎ

ハイフを短期間に繰り返すと、コラーゲンの分解が新生を上回り、皮膚のハリが低下することがあるとされています。ハイフの熱は組織に軽度の損傷を与え、その修復過程でコラーゲンが生成される仕組みですが、修復が完了する前に再度照射することで組織の回復が追いつかない可能性があります。

一般的にハイフの施術間隔は3〜6か月程度が目安とされることが多く、多くの医療機関がこの間隔を推奨しています(機種・個人の回復状況により異なる)。効果の持続期間が3か月〜1年とされているため、効果が切れてきたと感じるたびに短期間で受け直すことで、組織への累積的な負荷が高まる懸念があります。

月1回などの高頻度で繰り返し施術した場合、皮膚の弾力を保つ線維組織が過剰に刺激・分解されるリスクも否定できません。特に以前と同じ部位に集中して照射するケースでは、局所的な組織疲弊が懸念されます。施術の間隔と対象部位については、その都度医師と相談しながら決定することが求められます。

以下の表に、たるみ悪化につながる3つの原因とメカニズム・影響が出やすい方の特徴を整理します。

原因 メカニズム 起こりやすい人
皮下脂肪の減らしすぎ 皮膚の土台が減り相対的たるみが生じる 痩せ型・面長・高齢者
照射部位・深度・出力の誤り 上顔面の脂肪が減り皮膚が下方へ流れる 個別の適応診断なしの場合
施術頻度の詰めすぎ コラーゲン分解が新生を上回る 短期間で繰り返し受けた場合

3つの原因はいずれも、施術前の適応診断と医師による個別設計によってリスクを低減できる可能性があります。標準的な設定での施術や個人の顔の状態を考慮しない照射は、意図しない変化につながる余地があることを念頭に置いておくとよいでしょう。

 

悪化しやすい人・慎重な検討が必要な人

前章でたるみ悪化の原因を3つ確認しましたが、同じ施術を受けても影響の出方は個人の顔の状態によって大きく異なります。

特に顔の脂肪量が少ない方や、すでにたるみが重度に進んだ方は慎重な検討が求められるとされています。自分の顔のタイプがハイフの適応に合うかどうかを事前に把握しておくことが、施術後の後悔を減らす観点からも有効です。

この章のポイント
・痩せ型・面長は脂肪減少の影響が出やすい
・重度の皮膚弛緩はハイフ単独では対応しにくい
・たるみのタイプにより適応判断が異なる

脂肪が少ない痩せ型・面長の人

もともと頬の脂肪量が少ない痩せ型の方や面長の方は、ハイフによる脂肪減少の影響が相対的に大きく顔の印象に出やすいとされています。脂肪量が十分にある方であれば多少の減少があっても顔のボリューム感が維持されやすい一方、土台となる脂肪が少ない場合には、わずかな減少でも頬のこけや輪郭のゆるみとして見えやすくなります。

面長の顔型は縦方向のラインが強調されやすい構造のため、頬やこめかみの脂肪が減ることでさらに面長に見えたり、フェイスラインの落ち込みが目立ちやすくなったりすることがあります。BMIが低い方や食事制限で体重を落としている時期に施術を受ける場合も、脂肪量の観点から同様の注意が必要とされています。

こうした方が施術を完全に断念する必要はありませんが、照射エネルギーを通常より低く設定したり、3.0mmカートリッジ(皮下脂肪層)の使用部位・ショット数を慎重に調整したりする個別対応が求められます。施術前に医師が顔の脂肪量を実際に触診・診察して評価できる環境かどうかが、クリニックを選ぶ際の判断材料のひとつになります。

重度の皮膚弛緩・骨格性のたるみがある人

皮膚の弛緩が重度に進んでいる方や、骨格に起因するたるみが主な原因の方は、ハイフ単独では期待通りの改善が得られにくいケースがあるとされています。ハイフはSMAS筋膜の引き締めやコラーゲン新生を促す施術ですが、すでに皮膚が大きく余って垂れ下がっている状態に対しては、引き締める力だけでは物理的な対応に限界があります。

重度の皮膚弛緩に対しては、余剰皮膚を切除するフェイスリフトや、皮下に挿入した糸で組織を引き上げる「糸リフト」(スレッドリフト)との組み合わせが検討されることがあります。ただし、これらの治療法が個々の状態に適しているかどうかは、複数の治療の組み合わせを含めた詳細な医師との相談を前提に判断することが求められます。

骨格性のたるみとは、頬骨の形状や顎の位置など骨格そのものの特徴によって生じるたるみを指します。軟組織のみに作用するハイフでは根本的なアプローチが難しいとされており、施術前の正確な原因診断が特に求められるケースです。

適応の見極めが必要なたるみタイプ

たるみには皮膚弛緩型・脂肪下垂型・筋膜のゆるみ型など複数の分類があり、それぞれに適した治療法が異なります。ハイフがもっとも効果を発揮しやすいのは、皮膚のハリが比較的保たれており、SMAS筋膜の軽度〜中等度のゆるみが主な原因となっているケースとされています。

皮膚弛緩型は皮膚そのものが薄くなり弾力が低下した状態で、重力に引っ張られる皮膚の量が多くなります。このタイプに対するハイフは、コラーゲン新生によるハリの改善は期待できますが、余剰皮膚の量によっては効果に限界があります。脂肪下垂型は皮下脂肪のかたまりである「脂肪体」が重力で下方へ移動した状態で、こちらもハイフによる収縮効果ではカバーしにくいケースがあります。

一方、筋膜のゆるみ型はSMAS層の弛緩が主な原因であるため、4.5mmカートリッジで筋膜に直接アプローチできるハイフが比較的合致しやすいとされています。加齢に伴う真皮コラーゲンの自然減少も複合的に作用するため、たるみが複数のタイプの組み合わせになっていることも多く、診断の精度が施術結果を左右します。

ハイフが向いている人と慎重な検討が必要な人の特徴を以下の表で整理します。

区分 特徴 理由 検討の方向性
ハイフが向いている人 SMAS・筋膜ゆるみが主因で脂肪量がある 引き締め効果が活きやすい 医師と個別設計で施術
慎重な検討が必要な人 痩せ型・面長・顔の脂肪量が少ない 脂肪減少の影響が出やすい 出力調整・代替治療を検討
他の治療が向く場合 重度の皮膚弛緩・骨格性のたるみ ハイフ単独での改善が難しい 糸リフト等との併用を検討

自分のたるみが皮膚弛緩型か脂肪下垂型か筋膜ゆるみ型かは、外見だけでは判断が難しいケースも多く、医師による触診と問診を経た適応診断が確実な判断材料となります。

 

悪化を防ぐために受ける前に確認すること

前章では悪化リスクが高いと考えられる顔のタイプを確認しましたが、施術前の準備と選択によってリスクを大幅に下げられる可能性があります。

最も効果的な予防策は、医師による適応診断と個別設計に基づいた施術を選ぶことです。施術前に確認すべきポイントとして、カウンセリングの内容・施術間隔の考え方・医療機関とエステの違いを順に説明します。

この章のポイント
・医師の適応診断が悪化予防の第一歩
・施術間隔は3〜6か月が一般的な目安
・医療機関とエステは法的根拠が異なる

医師のカウンセリングと適応診断

悪化を防ぐ最も効果的な手段は、施術前に医師が顔の脂肪量・たるみタイプ・皮膚の状態を直接診察し、適応の有無と最適な設定を判断する適応診断を受けることです。このプロセスなしに標準的な設定で施術を進めると、個人の顔の特徴に合わない照射が行われるリスクが高まります。

具体的には、頬・こめかみ・あごの脂肪量の実測、たるみのタイプ(筋膜ゆるみ型か脂肪下垂型か皮膚弛緩型か)の鑑別、皮膚の弾力と厚みの評価が適応診断の主な内容となります。これらの評価をもとに、使用するカートリッジの深度(1.5/3.0/4.5mm)・部位ごとのショット数・1ショットあたりのエネルギーを個別に設計することで、脂肪の減らしすぎや部位ミスマッチによるリスクを低減できるとされています。

カウンセリング時に「痩せ型であること」「以前に同部位への照射歴があること」「頬のこけが気になること」などを事前に伝えておくと、医師が設定を慎重に調整するうえでの判断材料になります。担当医が施術直前まで患者に会わないクリニックや、問診なしで画一的な設定が適用される施術環境は、個別設計が行われていない可能性があるため、選択前に確認することが推奨されます。

施術間隔・頻度の目安

ハイフの施術間隔は、一般的に3〜6か月程度が推奨されることが多く、コラーゲン新生が十分に完了する時間を確保することが求められます。前章で述べたとおり、修復が完了する前に照射を繰り返すと、コラーゲン分解が新生を上回る可能性があるためです。

効果の持続期間は一般的に3か月〜1年程度とされているため、効果が薄れてきたと感じるタイミングで次の施術を検討する場合でも、最低3か月の間隔を確保することが推奨されます。特に、前回と同じ部位に再照射するケースでは、組織の回復状況を医師が確認したうえで次回の施術間隔を決定することが求められます。

短期間に繰り返すことは組織への累積的な負荷を高める懸念があります。施術間隔の決定を自己判断ではなく、その都度医師が現状を評価したうえで設定する体制を取っているクリニックを選ぶことが、過度な施術を防ぐうえで有効とされています。

医療機関とエステの違い(公的見解)

消費者庁・厚労省の公的見解によれば、HIFUによる細胞の熱凝固行為は医行為に該当し、医師免許のない者が業として行えば医師法第17条に違反する可能性があります。厚生労働省は2023年にHIFUに関する監視指導の徹底を求める通知を発出しており、行政の立場からエステサロンでのハイフ施術の法的位置づけが示されています。

実際のリスクを示すデータとして、2015年11月から2022年12月の間にHIFU関連の事故情報が135件記録されており、そのうち1か月以上の傷病となったケースが24件に上ります。施術場所別では、1か月以上の傷病はエステサロンでの事故96件中17件(17.7%)、セルフエステでは8件中4件(50.0%)でした(消費者安全調査委員会 事故等原因調査報告書, 2023年)。国民生活センターも2017年3月に、やけどや神経損傷の危害相談が寄せられていることを公表しています。

医療機関では出力管理・照射設計・施術者の資格・トラブル発生時の医療的対応が体制として整備されています。以下の表で医療ハイフとエステハイフの主な違いを整理します。

区分 施術者 出力管理 トラブル時対応 法的位置づけ
医療ハイフ 医師(または医師指示のもとで資格者) 医師が個別に設定・調整 医師による診療が可能 医療行為として認可
エステハイフ 無資格者(エステシャン等) 個別調整が困難な場合が多い 医療的処置ができない 医師法違反の可能性あり

これらの違いは、厚生労働省および消費者庁の公的資料に基づく事実として整理したものです。施術を選択する際には、担当者が医師かどうか・使用機器の医療承認の有無を事前に確認することが、リスクを最小化するうえでの実践的な手順とされています。

 

悪化したと感じたときの対処

前章では施術前の確認事項として、医師の適応診断・間隔の目安・医療機関の選び方を説明しましたが、すでに悪化が気になっている方には対処の道筋も必要です。

悪化したと感じたとき、自己判断で別の施術を試みたり放置したりするのではなく、まず現状を医師に診てもらうことが対処の起点となります。この章では経過観察の目安・ボリューム補填という選択肢・他のたるみ治療との組み合わせの考え方を説明します。

この章のポイント
・まず経過観察で一時的反応かを見極める
・脂肪減少にはボリューム補填が選択肢になる
・たるみタイプに応じた治療の組み合わせが有効

まずは経過観察と医師への相談

悪化を感じた場合、自己判断での対処ではなく医師への相談が対処の起点です。変化が一時的な反応かどうかは施術日からの経過期間と症状の推移から判断できることが多く、まず経過期間を確認することが先決です。

施術後2週間以内の変化は、ダウンタイムの範囲内として経過観察が基本とされています。腫れやむくみが引く過程で一時的にたるんで見える場合があり、この段階では落ち着くケースも少なくありません。一方、施術から1か月以上が経過しても頬のこけや輪郭の変化が改善しない場合、一時的な反応ではなく構造的な変化の可能性が高まるため、医師への相談を検討するタイミングとなります。

受診の際に伝えるべき情報は、施術日・施術クリニック・使用されたカートリッジの深度やショット数(分かる範囲で)・現在の症状と気になり始めた時期です。これらを事前にメモしておくことで、医師が原因(一時的反応か脂肪減少か適応ミスマッチか)を絞り込む精度が高まります。

ボリューム補填などの選択肢

脂肪減少による頬こけが持続している場合、ヒアルロン酸注入等によるボリューム補填が対処の選択肢のひとつとして検討されることがあります。失われた脂肪量を直接補充するのではなく、ヒアルロン酸製剤を注入することで皮膚を内側から持ち上げ、頬のボリューム感や輪郭を補正することが期待されます。

ヒアルロン酸は生体内に自然に存在する成分で、注入後は組織に馴染みながら徐々に吸収されます。頬・こめかみ・あご等の凹みの補正に用いられることがありますが、吸収速度・維持期間・必要な注入量は個人差が大きいとされており、効果の持続期間についても断定的な説明が難しい部分があります。施術前に医師から効果・リスク・再施術の頻度について十分な説明を受けることが求められます。

ボリューム補填はたるみそのものを根本的に改善する施術ではなく、見た目のバランスを補正するアプローチです。たるみの原因がSMAS筋膜のゆるみや皮膚弛緩にある場合、ヒアルロン酸注入単独では対応しきれないケースもあるため、補填と同時に原因に対処する治療を組み合わせるかどうかも医師と相談するポイントになります。

他のたるみ治療との組み合わせ

たるみのタイプによっては、ハイフ以外の治療法を組み合わせることで改善の可能性が広がるケースがあります。第3章で整理したとおり、皮膚弛緩型・脂肪下垂型・骨格性のたるみはハイフ単独での対応に限界があるとされており、それぞれのタイプに応じた治療法を検討する方向性があります。

糸リフト(スレッドリフト)は溶ける素材の糸を皮下に挿入して組織を引き上げる治療法で、SMAS筋膜へのアプローチと物理的な引き上げを組み合わせることで、ハイフ単独では難しい中等度以上のたるみへの対応が期待されるケースがあります。フェイスリフトは余剰皮膚を外科的に除去するため、重度の皮膚弛緩に対する持続性の高い改善が期待できる一方で、外科的なリスクも伴うため適応の判断には慎重な診察が前提となります。

治療の組み合わせはたるみのタイプ・程度・個人の希望や生活スタイルによって大きく異なります。複数の治療法の特徴とリスクについて医師から十分な説明を受けたうえで、自分の状態に合った治療計画を立てることが、長期的な改善に向けた方向性とされています。現在の状態を医師に診てもらい選択肢を知ることが、次の一手を決める基本となります。

たるみが気になる箇所・最後の施術日・その後の変化の経過を時系列でメモしてから受診すると、医師が治療の方針を判断しやすくなります。

 

ハイフたるみ悪化のよくある質問

ハイフとたるみ悪化に関して多く寄せられる疑問を6問にまとめました。施術前の不安・悪化後の対処・適応の判断といったテーマを中心に、医師監修のもとで回答しています。

ハイフでたるみが悪化することは本当にありますか?

適切な施術では改善が期待できますが、脂肪の減らしすぎや適応のミスマッチ・施術頻度の詰めすぎという特定の条件下では、悪化したように見える状態が生じることがあります。

ハイフで頬がこけるのはなぜですか?

ハイフの熱が皮下脂肪層に作用して脂肪細胞が一部減少することで、皮膚の土台ボリュームが失われて頬がこけて見えることがあります。痩せ型・面長の方で顕在化しやすいとされています。

ハイフは何か月おきに受けるのが目安ですか?

一般的に3〜6か月程度の間隔が推奨されることが多く、コラーゲン新生が完了する時間を確保するためとされています。機種・個人差があるため、担当医師への確認が推奨されます。

ハイフで悪化したたるみは元に戻りますか?

施術直後の腫れ・むくみによる変化は経過で軽減することがあります。脂肪減少による持続的な変化は自然回復しにくいケースもあり、1か月以上続く場合は医師への相談を検討してください。

痩せ型でもハイフを受けられますか?

受けることは可能ですが、脂肪量が少ない方は頬こけのリスクが高まるため、照射エネルギーや部位の慎重な個別調整が前提となります。代替治療も含め医師に相談することが推奨されます。

エステのハイフと医療機関のハイフはどちらが安全ですか?

厚生労働省の見解ではハイフ施術(HIFU)は医行為に該当し、無資格施術は医師法違反に相当するとされています。安全性・緊急時対応の観点から、医師が管理する医療機関での施術が推奨されます。

 

まとめ

ハイフによるたるみ悪化は、脂肪の減らしすぎ・照射部位や深度のミスマッチ・施術頻度の詰めすぎという3つの原因に起因するとされており、いずれも施術前の適応診断と個別設計によってリスクを下げられる可能性があります。特に、もともと顔の脂肪が少ない方・面長の方・すでに皮膚の弛緩が強い方は慎重な判断が求められ、担当医師が脂肪量やたるみタイプを丁寧に見極める環境が重要です。

すでに悪化が気になっている場合は、まず施術からの経過期間を確認することが出発点です。施術直後から数週間程度の腫れやむくみであれば一時的な反応として落ち着く場合がありますが、3か月以上にわたって頬のこけや輪郭のゆるみが続くようであれば、自己判断で放置するよりも医師に現状を診てもらうことで対処の方向性が明確になります。ヒアルロン酸によるボリューム補填や他のたるみ治療との組み合わせなど、たるみタイプに応じた選択肢も存在します。

アラジン美容クリニックでは、美容医療および美容皮膚における長年の経験や博士号を持つ知見より、出逢う皆様のお一人ひとりに最適な施術を提供する「オンリーワン」を目指すカウンセリングを実施し、余計な情報や提案をせず、「ウソのない」美容医療で、必要な施術のみをご提案しております。

LINE公式アカウントにて、お気軽に24時間カウンセリングや予約を受付しております。無料カウンセリングで初めての方やお悩みの方はぜひ一度ご相談くださいませ。

参考文献・出典

  • 消費者庁 消費者安全調査委員会「消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書 エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故」(2023年3月29日。2015年11月〜2022年12月にHIFU関連事故135件、うち1か月以上の傷病24件、施設別の傷病内訳等)
  • 独立行政法人国民生活センター「エステサロン等でのHIFU機器による施術でトラブル発生!-熱傷や神経損傷を生じた事例も-」(2017年3月)
  • 厚生労働省「HIFUに関する監視指導の徹底について」(2023年、HIFU施術の医行為該当・医師法第17条)

関連記事