糸リフトで将来たるむのは本当?効果が消える時期と残る変化

美容医療

糸リフトを受けたせいで、将来のたるみが受けなかった場合より進むことを示した研究は、これまで報告されていません。一方で、表面に返し(小さなとげ)が付いた溶ける糸を使った160例の記録では、引き上げの効果は半年で明らかに弱まり、1年後には消えていました。

効果が消えるころには、その間に進んだ年齢による変化も重なって見えるため、「前よりたるんだ」と感じやすくなります。また、糸の周りには引き上げの効果より長く残る組織の変化が起こることがあり、のちの切開リフトが難しくなったという報告もあります。

ここでは、国内の美容医療診療指針と査読を経た研究をもとに、効果が消えていく経過、糸が溶けたあとに残りうる変化、自宅でできるセルフチェック、受ける前に確かめたいことを順に解説します。

 

糸リフトでたるみが早まる根拠はない

糸リフトが将来のたるみを早めたと示す研究はありません。ただし、何も施術を受けていない人と比べて、たるみの進み方を長く追った研究も報告されていないため、「たるまない」とも言い切れないのが現状です。この章では、現時点でわかっている3つのことを、それぞれの限界とあわせて確認します。

この章のポイント
・たるみを早めたという研究報告はない
・引き上げ効果は1年ほどで消えた記録
・日本人の比較で糸リフト歴の人は動きが小さかった

たるみを早めたと示す研究はない

糸リフトを受けた人と何も施術を受けていない人のたるみの進み方を長期間比べた研究は報告されておらず、「たるむ」「たるまない」のどちらの説にも長期データの裏付けはありません。

国内の美容医療診療指針は、スレッドリフト(糸リフト)で一時的に顔のシワ・タルミの改善が期待できるとしたうえで、効果が大きくなく持続も短いことを十分に説明してから行うことを「弱く推奨」しています。研究のほとんどは6か月以内の短期の結果だったとも指摘しています。

2018年の系統的レビュー(複数の研究を集めて評価し直した報告)では、12件のうち2件を除くすべての研究で、引き上げの持続は「よくても非常に限られていた」とされました。効果を肯定した2件は、いずれも糸の製造会社が資金を出した研究です。2025年の系統的レビューも、溶ける糸の12研究・818人を検討し、最長の追跡は2年で、長期の有効性のデータは不足していると結論づけています。

引き上げ効果は1年でほぼ消える

引き上げの効果は半年から1年で消えていたという記録があり、ほかの研究でも長くは残っていません。

半年で弱まり1年で消えた記録

冒頭で触れた160例の記録は、イタリアとオランダの医師らが、返し付きのポリジオキサノン(PDO)糸で施術した人を順にすべて集めて振り返ったものです。施術直後から1か月までは頬などの下垂が改善していましたが、6か月で明らかに弱まり、1年後には消えていました。早期の合併症も34%にみられています。片側3本と6本をくじ引きで割り振った22人の比較試験でも、20日時点の改善は60日までに薄れ、本数による差はありませんでした。

糸を使わない施術と比べた21か月の経過

2009年の米国の研究は、糸リフトを受けた33例(糸だけの10例と、他の施術を併用した23例)と、糸を使わない若返りの施術を受けた10例を平均21か月追跡しました。施術内容を知らされていない専門医4名が写真を採点したところ、1か月時点ではどの群にも改善がみられた一方、研究の終わりまで改善が残らなかったのは糸だけを受けた群のみでした。著者は、短期的な改善の多くは施術後の腫れと炎症の影響と考えられると結論づけています。

引き上げ効果の持続を追った3つの研究を並べると、次のとおりです。

研究 比べたもの 追跡期間 引き上げ効果の経過
160例の記録 同じ人の経過 1年 半年で低下し1年で消失
33例と対照10例 糸単独・併用・他の施術 平均21か月 糸単独だけ改善が残らず
22人の比較試験 片側3本と6本 60日 60日で薄れ本数差なし

いずれも国外の研究で、示されたのは効果が消えたことであり、施術前より悪くなったことではありません。米国の研究も採点の最低点が「変化なし」で、悪化を測る設計ではありませんでした。

糸リフト歴のある日本人は下がり幅が小さかった

平均年齢41歳の日本人143人の写真で、座った姿勢と仰向けの間で顔の輪郭がどれだけ動くかを比べた研究では、糸リフト歴のある人のほうが動きが小さいという結果でした。

この研究は動きの大きさをたるみの動きやすさの指標としており、正面の写真での動きは未治療の人で20.8%、糸リフト歴のある人で14.1%と統計的に意味のある差で小さく、横顔でも41.4%と33.4%で同じ傾向でした。HIFU(高密度焦点式超音波)だけを受けた人は未治療の人と差がなく、BMI(体格指数)が25以上の人では糸リフト歴の有無で差はみられませんでした。

ただし、同じ人を前後で追った研究ではなく、ある時点の写真の比較です。糸の本数や時期、回数はそろっておらず、年齢などの違いも調整されていないうえ、施術を行う側の医師による研究でもあります。糸リフトがたるみを防ぐとまでは言えない一方、糸リフト歴のある人のほうがたるんでいたという結果でもありません。

 

たるんだと感じる正体は効果切れと加齢

前章のとおり、引き上げは1年ほどで消えますが、施術前より悪化させたという記録はありません。それでも「糸リフトの後にたるんだ」と感じるのは、引き上げが時間とともに消えることと、その間も進む年齢による変化が重なるためと考えられます。この章では、糸の支える力が抜けていく時間の流れ、比べる基準のずれ、よく聞く2つの説明の根拠を確認します。

この章のポイント
・糸の支える力は溶ける前に弱まる
・比べる基準が直後の顔にずれやすい
・皮膚が伸びる説もコラーゲン説も未証明

糸の支える力は溶けきる前に弱まる

糸が組織を支える力は、糸が溶けてなくなるより先に弱まっていきます。

国の承認を受けた返し付きのポリジオキサノン縫合糸の添付文書(製造販売会社が作成する、医療機器の公式な説明書)には、動物に埋め込んだ試験で、引っ張る力に耐える強さが2週間で元の80%以上、4週間で40%以上残り、約26週(半年ほど)で完全に吸収されると記されたものがあります。

この糸は手術で組織を縫い合わせるための製品で、糸リフトに使われる糸とは製品も目的も異なり、数値も製品ごとに違いますが、同じ素材の糸では「溶けてなくなる」より先に「支える力が弱まる」という時間の流れの目安になります。先述の160例の記録で効果が6か月で明らかに弱まり、1年で消えていた時期ともおおむね重なり、ある日突然落ちるのではなく、数か月かけて少しずつ戻っていく経過と考えられます。

比べる基準が直後の顔にずれる

糸リフトの直後は引き上がった顔が新しい基準として記憶されやすく、効果が消えると施術前に戻っただけでも「下がった」と感じます。

さらに、効果が消えるまでの半年から1年の間にも年齢による変化は進むため、施術前の写真がなければ、効果が消えた分と年齢で進んだ分は見分けられません。先述の米国の研究でも、糸だけの群は改善が残らなかった一方、他の施術を受けた群には改善が残っていました。糸だけの群の結果は「消えた」ことを示すもので、「悪化した」ことを示すものではないのです。

皮膚が伸びる説もコラーゲン説も未証明

「強く引き上げると皮膚が伸び、糸が溶けた後に以前より下がる」という説明にも、「コラーゲンで引き上げが保たれる」という説明にも、十分な裏付けはありません。

皮膚が伸びて以前より下がるという説明について、それを確かめた研究は報告されていません。反対に、糸が溶けるときに周りにできる瘢痕(傷あとの組織)で引き上げが保たれるという説明について、国内の診療指針は「それを客観的に示すデータは存在しないため、その意見を支持することは難しい」としています。

動物実験では、PDO糸の周りに線維の膜ができ、コラーゲンが7か月にわたり増えていましたが、これは動物の皮膚で起きた組織の変化であり、ヒトの顔の引き上げが続くことを示すものではありません。素材ごとに何年持つとよく挙げられる数字も、裏付けとなる臨床データを伴っていないのが実情です。

 

将来に残りうるのは組織の変化

効果が消えることは悪化とは別ですが、糸リフトが将来に何も残さないとも言い切れません。具体的に報告されているのは、糸の周りの線維化(組織が硬い線維に置き換わること)や組織どうしの癒着と、それによってのちの切開リフトが難しくなる可能性です。この章では、その報告と、年齢や本数で変わる合併症を確認します。

この章のポイント
・糸の周りに線維の膜ができることがある
・後の切開リフトが難しくなった報告
・合併症は年齢と本数で起こりやすくなる

糸の周りには線維の膜ができる

糸を入れた周りの組織には、線維の膜ができることが報告されています。

先述の動物実験では、糸の周囲に線維性の膜ができ、組織の反応は1か月が最も強く、その後は徐々に弱まっていました。顔の糸リフトの合併症をまとめた総説は、施術直後のわずかなくぼみは腫れが引くにつれて自然になることが多い一方、返しが組織にかかった状態が長く続くと線維化が長引くくぼみにつながりうるとし、続く場合は糸の切断や抜去が必要になることがあるとしています。

国内の診療指針も、まれではあるが合併症により抜去が必要になる場合があることを、施術前に説明すべき事項に含めています。溶けない糸(非吸収糸)は体内に残り続け、溶ける糸でも、糸が消えたあとに組織の側の変化が残ることがあります。神経や血管が傷ついた例の報告もあります。

のちの切開リフトが難しくなる報告

糸リフトを繰り返したあとに切開リフトを受けた人で、手術が難しくなったという報告があります。

ブルガリアの外科医が、溶ける糸による糸リフトを2回以上受けたあとに切開リフトを行った10人(51〜68歳)をまとめた報告では、手術中に線維化、組織のゆがみ、層どうしの癒着、SMAS(表情筋を覆う膜)の動きにくさがみられ、手術が煩雑になり時間も延びました。10人中7人で皮膚の張り直しが不十分となってくぼみが見え、1人で口元を動かす神経の一時的な麻痺が起きています。著者は、糸リフトが引き上げ効果や糸そのものより、はるかに長く続く組織の変化をもたらすと結論づけました。

この報告は1人の外科医による10人の記録で、糸リフトを受けていない人との比較はなく、切開リフトに至った人だけを集めています。顔の外科医63人への意識調査でも、以前の施術のうち糸は手術中に最も見分けやすく、6か月以内の施術は手術を難しくすると受け止められていましたが、これは実測ではなく外科医の印象です。

合併症は年齢と本数で増える

合併症の起こりやすさは、年齢や糸の本数、糸の種類によって変わります。

26研究をまとめたメタ解析(複数の研究の数値を統合する分析)では、腫れ35%、皮膚のくぼみ10%、しびれなどの異常感覚6%、糸が見える・触れる4%、感染2%、糸の露出2%という発生率でした。満足度は施術直後の98%から、半年後を目安とした評価で88%に下がっています。主な4つについて、年齢と糸の種類による違いを並べます。

合併症 全体の発生率 起こりにくい条件 起こりやすい条件
皮膚のくぼみ 10% 50歳以下 5.6% 50歳より上 16%
感染 2% 50歳以下 0.7% 50歳より上 5.9%
しびれなどの異常感覚 6% 溶ける糸 3.1% 溶けない糸 11.7%
糸の露出 2% 溶ける糸 1.6% 溶けない糸 7.6%

いずれも合併症の差であって将来のたるみの差ではなく、研究ごとのばらつきが大きい中での平均値です。

日本の医療機関グループの医師らが105施設のPDO糸リフト2,000件を分析した研究では、合併症は12.4%で、多かったのは皮膚の引きつれ6.35%、左右差2.9%、痛み1.75%でした。糸の本数が多いほど合併症が起こりやすい傾向がみられ、40代・50代・60歳以上と年代が上がるにつれて段階的に高まっています。

施術を行う側の医療機関グループによる分析ですが、先述の3本と6本の比較試験とあわせると、本数を増やせば長持ちするとは言えず、合併症は増えうると整理できます。これまでに糸リフトを受けた人は、受けた時期・回数・糸の種類・本数をメモにまとめておくと、次の施術や将来の手術を相談するときの判断材料になります。

 

受ける前のセルフチェックと判断の目安

ここまでの判断材料をふまえ、受けるかどうかを決める前にできるのは、自宅で今のたるみを記録し、見送りや延期を考えたい条件と、ほかの選択肢との違いを知っておくことです。セルフチェックは診断ではなく、相談の材料と比較の基準を作るためのものです。

この章のポイント
・座った顔と仰向けの顔の2枚で記録する
・見送りや延期を考えたい条件を知る
・たるみの原因ごとにほかの選択肢と比べる

座った顔と寝た顔を比べるセルフチェック

先述の日本人の研究では、座った姿勢と仰向けの間で顔の組織がどれだけ動くかをたるみの指標とし、施術を受けていない人では正面で約2割、横顔で約4割の動きがみられました。この考え方を参考に、自宅で試せる手順の一例を示します。

  1. 明るい部屋で椅子に座って背すじを伸ばし、スマートフォンを目の高さに固定して、無表情で唇を軽く閉じた正面の顔を撮ります。
  2. 枕を外して仰向けに寝て、同じスマートフォンを顔の真上の同じ距離に構え、同じ表情で正面の顔をもう1枚撮ります。
  3. 2枚を並べ、黒目の中心から下あごの輪郭までの長さを目の横幅を物差しに測るか、フェイスラインと口角の位置を見比べて、差を確かめます。

1〜3か月ごとに同じ条件で撮り直し、日付を付けて保存すれば変化を追えます。差が大きいほど重力で動く組織が多いと考えられますが、差だけで治療の要否は決まりません。糸リフトを受けた人は、施術前の写真と比べると、効果が消えて戻ったのか施術前より進んだのかを見分ける手がかりになります。

自己流のマッサージで押したり引っ張ったりするのは避け、次の変化があるときは様子を見ずに施術を受けた医療機関へ連絡してください。

  • 数週間たっても消えないくぼみや引きつれ
  • 皮膚から出てきた糸の端や、触れると痛む糸
  • 増えていく赤み・腫れ・熱っぽさ・膿
  • 続くしびれや痛み、表情の動きの左右差

見送りや延期を考えたい人

スレッドリフト用に承認された糸がないため、承認時に定められる禁忌(使ってはいけない人)の公的な一覧はなく、受けられるかどうかは医師の診察で個別に判断されます。

一般的には、施術する部位に感染や強い炎症があるとき、安全性が確かめられていない妊娠中・授乳中、糸の素材や麻酔薬・金属にアレルギーがあるとき、出血しやすい体質や血液をさらさらにする薬を飲んでいるときに、見送りや延期が検討されます。薬は自己判断でやめず、申告してください。50歳より上や本数が多い場合に合併症が増える点も判断材料です。

数年以内に切開リフトを考えている人や、すでに複数回受けている人は、のちの手術への影響を踏まえ、間隔や回数を医師と相談すると安心です。先述の160例の研究の著者は、より負担の大きい手術を受けられない人に限るべきとしています。一方、国内の診療指針は、効果が大きくなく持続も短いことを十分に説明したうえで、希望する人には行うことを弱く推奨するとしており、見解には幅があります。年齢で一律に線を引く基準もありません。

糸リフト以外の選択肢と使い分け

たるみへの対処は糸リフトだけではなく、原因が皮膚の余りか、ボリュームの減少か、組織の位置の下がりかによって選択肢が変わります。

切開を伴うフェイスリフト手術は、余った皮膚を切り取り深い層から引き上げる方法で、皮膚の余りが大きい場合に向きます。傷あととダウンタイムを伴うほか、皮膚の下に血がたまる血腫や、顔の神経が傷つくことによる表情の動きの障害などの合併症が起こることもあります。ヒアルロン酸注入はボリュームの減少が主な原因の場合の選択肢で、承認品と未承認品が併存し、合併症は軽微なものがほとんどである一方、血管内への誤注入による皮膚壊死や失明などの重い合併症の報告もあります。

HIFUは皮膚の奥を熱で引き締めることを狙う機器で、副作用に瘢痕形成や神経麻痺が挙げられます。2023年の厚生労働省の通知では、美容目的で使うために国内で承認されたHIFU機器はないとされているため、使う機器の承認状況を確かめる必要があります。先述の日本人の研究では、HIFUだけを受けた人は未治療の人と差がありませんでした。いずれも持病や服用中の薬、アレルギーによって受けられない場合があり、厚生労働省が美容目的の施術は多くの場合緊急性がないとしているように、何もしないことも選択肢の一つです。

 

将来に備えて施術前に確かめること

受けると決めた場合、将来の顔を左右するのは、何の糸を何本使うか、問題が起きたときにどう対応してもらえるかです。この章では、スレッドリフト用に承認された糸が国内にないことを前提に、素材と承認状況、合併症が起きたときの対応、相談の前に書き出しておきたい質問を確認します。

この章のポイント
・スレッドリフト用の承認糸は国内にない
・抜去の可否や連絡先を先に聞いておく
・質問を書き出してから相談に臨む

糸の素材と承認状況を確かめる

国内の診療指針は、スレッドリフト用に承認された糸は国内にないとしています。そのため糸リフトは、国内で承認されていない糸を使うか、手術用の縫合糸として承認された糸を、承認された使い道とは異なる顔の引き上げに使うかのどちらかになり、いずれも保険適用外の自由診療です。

返し付きの縫合糸には国内で承認された製品が複数ありますが、国が認めた使い道は手術での組織の縫合で、顔の引き上げは含まれていません。未承認の糸や承認外の使い方は、使ってはいけないという意味ではありませんが、国が効果と安全性を確かめた使い方ではないため、情報を自分で確かめる必要があります。糸は医療機器にあたるため、医薬品の副作用を対象とする医薬品副作用被害救済制度の対象にもなりません。

医療機関の広告のルールを定めた厚生労働省の医療広告等ガイドラインは、未承認の医薬品や医療機器を自由診療で使う場合や、承認された製品を承認外の目的で使う場合に、次の情報をあわせて示すことを求めています。

  • 使う糸が国内未承認であること、または承認された使い道とは異なる使い方であること
  • 糸の入手経路
  • 同じ成分や性能をもつ国内承認品の有無
  • 海外での承認状況と安全性の情報
  • 公的な救済制度の対象外であること

あわせて、ポリジオキサノンやポリ乳酸系といった素材と、溶ける糸か溶けない糸かも確かめます。溶けない糸は異常感覚と糸の露出が多いというデータがあります。

合併症が起きたときの対応を聞く

厚生労働省の検討会報告書は、合併症や後遺症が起きたときに治療した医療機関が対応できない、対応を拒む、他の医療機関の紹介もしないという事例を問題として挙げ、問題発生時の相談窓口の連絡先を患者に知らせる必要があるとしています。

糸のずれやくぼみ、感染、まれには抜去など、施術後に対応が必要になる場面に備えて、施術前に次の点を確かめておきます。

  • くぼみや左右差が出たときの経過観察の期間と対応
  • 抜去が必要になったとき、その医療機関で行えるか
  • 夜間・休日に異常が起きたときの連絡先
  • その医療機関で対応できない場合の紹介先
  • 再診や修正にかかる費用の一般的な目安

相談前に書き出す質問リスト

厚生労働省は施術前の確認として、使う薬や材料を自分でも説明できるか、リスクと発症の確率を理解したか、ほかの施術と比べたか、今すぐ必要かの4点を挙げています。

これに加えて、糸の素材と溶ける糸かどうか、提案された本数とその理由、効果が弱まる時期の見込みとその根拠、将来切開リフトを受ける場合の影響を書き出しておくと、説明の抜けに気づけます。これまでの施術歴を伝えたうえで、説明と判断は医師から受け、カウンセラーとの話だけで決めないようにします。

「絶対にたるまない」「一生持つ」といった説明には、それを支える長期データがないことを念頭に置くと冷静に聞けます。相談は施術を決める場ではなく、見送る判断も含めて材料を集める場です。

 

糸リフトとたるみについてよくある質問

効果の持続や糸が溶けたあとの変化について、よくある疑問に答えます。

糸リフトの効果が切れると、施術前よりたるみますか?

施術前より悪化させたという研究報告はありません。引き上げが1年ほどで消えて元に戻り、その間に進んだ年齢による変化が重なるため、前よりたるんだように見えることがあると考えられます。

糸リフトの効果はどのくらい続きますか?

160例の記録では、効果は半年で明らかに弱まり、1年後には消えていました。素材ごとに何年持つという数字には、裏付けとなる臨床データが示されていません。

糸リフトを何度も繰り返しても大丈夫ですか?

問題がないとは言い切れません。2回以上受けた人の切開リフトで線維化や癒着がみられた報告や、本数が多いほど合併症が増えた分析があり、回数と間隔は医師と相談してください。

溶ける糸なら、体に何も残りませんか?

糸は吸収されますが、何も残らないとは限りません。ポリジオキサノン製の縫合糸には約26週(半年ほど)で完全に吸収されるとされる製品がある一方、糸の周りに線維の膜ができることが動物実験で示されています。

将来フェイスリフト手術を受けるとき、糸リフトの影響はありますか?

影響が出ることがあります。糸リフト後の切開リフトは組織の癒着などで難しくなる傾向があるという報告があり、手術前には施術歴と時期を必ず伝えてください。

 

まとめ

糸リフトで将来たるむのかという問いには、たるみを早めたと示す研究はなく、日本人の比較でも悪化の方向の結果は出ていない、と答えられます。ただし引き上げの効果は1年ほどで消え、その間の年齢による変化が一度に見えることで、「たるんだ」と感じがちです。将来に残りうるものとして報告されているのは、たるみの悪化ではなく糸の周りの線維化や癒着で、のちの切開リフトに影響することがあります。数値の多くは国外の研究によるもので、個人の経過を約束するものではありません。

今日からできるのは、座った顔と仰向けの顔を撮って記録しておくことと、糸の素材・本数・承認状況・トラブル時の対応を質問として書き出しておくことです。受けるか見送るかを考えている段階でも、池袋本院のカウンセリングで写真と質問をもとに医師に相談できます。

アラジン美容クリニックでは、美容医療および美容皮膚における長年の経験や博士号を持つ知見より、出逢う皆様のお一人ひとりに最適な施術を提供する「オンリーワン」を目指すカウンセリングを実施し、余計な情報や提案をせず、「ウソのない」美容医療で、必要な施術のみをご提案しております。

LINE公式アカウントにて、お気軽に24時間カウンセリングや予約を受付しております。無料カウンセリングで初めての方やお悩みの方はぜひ一度ご相談くださいませ。

参考文献・出典

  • 厚生労働科学研究 美容医療に関する調査研究班(厚生労働科学研究費補助金「美容医療における合併症実態調査と診療指針の作成及び医療安全の確保に向けたシステム構築への課題探索」研究班)「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」(2022年)
  • Bertossi D ほか「Effectiveness, Longevity, and Complications of Facelift by Barbed Suture Insertion」Aesthetic Surgery Journal(2019年)
  • Abraham RF ほか「Thread-lift for facial rejuvenation: assessment of long-term results」Archives of Facial Plastic Surgery(2009年)
  • Germani M ほか「Is More Always Better? A Randomized Comparative Clinical Trial About the Impact of Polydioxanone Threads Quantity for Facial Lifting」Aesthetic Surgery Journal Open Forum(2025年)
  • Niu Z ほか「A Meta-Analysis and Systematic Review of the Incidences of Complications Following Facial Thread-Lifting」Aesthetic Plastic Surgery(2021年)
  • Okumura K ほか「Incidence and Predictors of Complications After Polydioxanone Thread Lift: A Multicenter Retrospective Cohort Study」Aesthetic Plastic Surgery(2026年)
  • Nakao T ほか「Posture-based Assessment: Thread Lift Versus High-intensity Focused Ultrasound in Asians」Plastic and Reconstructive Surgery Global Open(2025年)
  • Yordanov YP「The Facelift After Thread Lifting: Surgical and Aesthetic Complications」Aesthetic Plastic Surgery(2025年)
  • Gülbitti HA ほか「Thread-Lift Sutures: Still in the Lift? A Systematic Review of the Literature」Plastic and Reconstructive Surgery(2018年)
  • Kim J ほか「Investigation on the Cutaneous Change Induced by Face-Lifting Monodirectional Barbed Polydioxanone Thread」Dermatologic Surgery(2017年)
  • SANAPDO縫合糸(Sanalock縫合糸)添付文書(ジェネシス・メドテック・ジャパン株式会社)
  • 厚生労働省「美容医療の適切な実施に関する検討会 報告書」(2024年)、「その美容医療、ちょっと待って!」、「医療広告等ガイドライン」、「医療広告ガイドラインに関するQ&A」

関連記事