妊婦のタンパク質は1日何グラム?時期別の付加量と主菜の数え方

ウェルビーイング

妊婦に必要なタンパク質の量は、妊娠の時期によって変わります。2025年版の日本人の食事摂取基準では、1日の推奨量は妊娠前と同じ50gを基準に、初期は上乗せなしの50g、中期は5g多い55g、後期は25g多い75gとされています。

一方で、摂取量が多いほど胎児の発育によいというわけではなく、摂りすぎがかえって好ましくない可能性も指摘されています。

本記事は医師監修のもと、時期別の基準値の整理から、自分の食事が足りているかを確かめるセルフチェックの方法、妊娠中に注意したい食品の選び方までを、産婦人科の受診が必要な場面と合わせて解説します。

 

妊婦に必要なタンパク質量は時期で変わる

妊婦に必要なタンパク質量は、妊娠の時期によって上乗せする量が変わります。この上乗せ分は「付加量」と呼ばれ、妊娠前の推奨量に足して考える仕組みです。

本章では、時期別の具体的な数値と、グラム数とは別に存在する目標量という指標について整理します。

この章のポイント
・付加量は妊娠前の推奨量50gに上乗せする量
・後期の付加量が+25gで最も多い
・グラム数とは別に目標量という指標もある

妊娠初期・中期・後期の1日の必要量

18〜49歳女性の推奨量50gを起点に、妊娠初期はそのまま50g、中期は+5gで55g、後期は+25gで75gが1日の推奨量の目安です。

この数値は最新の食事摂取基準に基づく値です。なお、推定平均必要量という別の指標もあり、こちらは妊娠後期で+20gと定められています。推奨量は多くの人が充足する水準、推定平均必要量は半数程度が充足する水準という違いがあり、日常的な目安としては推奨量の数値を覚えておけば十分です。

また、グラム数の推奨量に加えて、エネルギー全体に占めるたんぱく質の割合を示す目標量という指標もあり、妊娠初期・中期は13〜20%、後期は15〜20%が目安です。目標量は、たんぱく質だけを増やして脂質や炭水化物を極端に減らすといった偏った食べ方を避けるための指標という位置づけです。グラム数と割合の両方を厳密に満たす必要はなく、日常生活では時期別のグラム数を覚えておくだけでも十分に役立ちます。

中期と後期で付加量が変わる理由

上乗せ量が中期と後期で異なるのは、胎児の発育と母体への蓄積が妊娠後期に集中して増えるためです。

妊娠後期は胎児の体重が急速に増える時期にあたり、母体側でも出産・産後に向けた準備が進みます。そのため後期の付加量が中期の5倍にあたる+25gと大きく設定されています。一方、妊娠初期に付加量が設定されていないのは「食べなくてよい」という意味ではなく、妊娠前の推奨量をきちんと満たしていることが前提になっているためです。妊娠前の食習慣がそのまま持ち越されやすい時期でもあるため、初期のうちから主菜を意識しておくと中期以降の変化にも対応しやすくなります。

また、中期の+5gという上乗せ幅の小ささは、母体の変化がまだ緩やかな時期であることを反映したものと考えられます。時期が進むにつれて上乗せ幅が段階的に大きくなる構造を知っておくと、なぜ後期に食事量を意識的に増やす必要があるのかが理解しやすくなるでしょう。

授乳期の付加量と産後の考え方

授乳期の付加量は+20gで、1日の合計は70gとなり、妊娠中期よりも多い水準です。

これは母乳をつくるために必要な分が上乗せされているためです。授乳中だからといって特別な食品を摂る必要はなく、通常の食事に主菜をしっかり組み込むという考え方は妊娠中と共通しています。出産を境に「一時的に頑張って増やす」のではなく、妊娠期から続く食習慣として捉えておくと、産後の負担が少なくなります。

母乳の分泌量には個人差があり、授乳のスタイルによって必要なエネルギーやたんぱく質の量も変わりますが、極端な食事制限は母乳の質や量に影響しうるため避けたほうがよいと考えられます。

時期ごとの上乗せ量と1日の推奨量の合計、グラム数とは別の指標である目標量(%エネルギー)を一覧にすると、次のようになります。

時期 付加量(推奨量) 1日の推奨量の合計 目標量(%エネルギー)
妊娠初期 +0g 50g 13〜20%
妊娠中期 +5g 55g 13〜20%
妊娠後期 +25g 75g 15〜20%
授乳期 +20g 70g 15〜20%

この表の数値をすべて覚える必要はなく、今の時期に該当する1行だけを覚えておけば日々の目安として機能します。今の妊娠週数に当てはまる合計値を1つメモしておくと、毎食の判断がぶれにくくなります。

 

妊婦のタンパク質摂取は不足しやすい

時期別の目安がわかったところで、次に気になるのは自分が足りているかどうかです。結論として、日本の妊婦の平均的な摂取量は初期・中期の推奨量は上回るものの、後期の推奨量には届いていない水準にあります。

本章では、実測データと不足が起こりやすい背景を整理します。

この章のポイント
・妊婦の平均摂取量は後期の推奨量と差がある
・20〜30歳代女性はやせの割合が目標を上回る
・不足が続くと発育への影響が懸念される

妊婦の実際の摂取量と推奨量の差

妊婦のたんぱく質摂取量の平均値は66.6gと報告されています。これは初期の推奨量50gや中期の55gは上回る水準ですが、後期の推奨量75gには届いていません。妊娠の経過とともに必要量が増えるため、意識せずにいると後期に近づくほど差が広がりやすいことを示しています。

20〜29歳女性の平均は62.9g、30〜39歳女性は62.0gで、非妊娠時の水準からも大きく増えているわけではありません。妊娠したからといって自然に摂取量が増えるものではなく、意識的に主菜を足す必要があることがうかがえます。妊娠週数が進むごとに必要量も増えていくため、初期の食事量のままでは後期に近づくほど差が広がりやすい点に注意が必要です。

妊娠がわかった時点から少しずつ主菜を増やしておくと、後期になって急に食事量を変える負担を減らせます。なお、この調査における妊婦の集計人数は41人と限られており、集団全体の傾向を断定できる規模ではない点には注意が必要です。

若い女性のやせと食事の偏り

20〜30歳代女性のやせ(BMI18.5未満)の割合は16.6%で、国の目標値である15%を上回っています。

主食・主菜・副菜をそろえた食事を1日2回以上、ほぼ毎日とれている女性は20代で32.1%、30代で47.4%にとどまり、若い世代ほど食事のバランスが崩れやすい実態がうかがえます。妊娠前の食行動は妊娠を機に急には変わりにくいとされ、これが摂取量の差につながっている一因と考えられます。

妊娠中の体重増加指導の目安は、低体重の人で12〜15kg、普通体重の人で10〜13kgとされており、やせ体型ほど増加量が多く求められる点も踏まえておくとよいでしょう。体格や体重増加のペースには個人差があるため、目安の数値を踏まえつつ、気になる場合は妊婦健診で体重の変化について相談しておくと安心です。

不足が続いたときに考えられる影響

栄養状態が不良な妊婦では、エネルギーとたんぱく質を補うことで出生時の状態が改善しうることが示されています。

低栄養の傾向がある集団を主な対象とした12件の試験・6,705人分のデータを統合した分析では、バランス型のエネルギー・たんぱく質を補う栄養補給を行った群で、在胎週数に対して小さく生まれる割合が、補給を行わなかった場合と比べて約2割低かったと報告されています。ここで補われているのはエネルギーとたんぱく質の両方であり、たんぱく質だけを増やした場合の効果を示したものではない点は押さえておく必要があります。

同じ分析では死産のリスク比も0.60(5試験3,408人)に下がったとされ、栄養状態が不良な集団にとって栄養補給の意義は小さくないことがうかがえます。ただしこの結果は栄養状態がもともと不良な集団での知見であり、日本の一般的な妊婦にそのまま当てはまるとは限りません。「不足しているかもしれない」と感じた場合は自己判断で極端に増量するのではなく、次章のセルフチェックで現状を確かめることから始めるのが現実的です。

直近3日間の食事を振り返り、主菜が抜けた食事がなかったか思い出してみてください。

日本の妊婦の摂取量と、参考として同年代女性・授乳婦の摂取量、推奨量の目安を並べると次のようになります。

区分 1日の平均摂取量 推奨量の目安
20代女性 62.9g 50g
30代女性 62.0g 50g
妊婦(平均) 66.6g 50〜75g
授乳婦(平均) 74.8g 70g

妊婦・授乳婦の数値は集計人数が41人・76人と限られているため、目安として捉え、断定的な比較には使わないようにしてください。

 

足りているかを確かめるセルフチェック

実際の摂取量に差がある傾向がわかったところで、次は自分自身の食事を確かめる方法です。結論として、グラム数を計算しなくても、主菜の数を数えるだけでおおよその充足度は把握できます。

本章では、自宅でできるセルフチェックの手順を紹介します。

この章のポイント
・主菜の数を数えれば計算は不要
・3日単位で振り返ると波を吸収できる
・主食を減らすとタンパク質も減りやすい

手のひら1枚で主菜を数える方法

1食に手のひら1枚分ほどの主菜(肉・魚・卵・大豆製品のいずれか)がのっているかを見るだけで、グラム計算をせずに目安が把握できます。

一例として、次のような3ステップで確認する方法があります。

  1. 今日の3食それぞれで、主菜が1品あったかを思い出す
  2. 手のひら1枚分ほどの量に届いていたかを判定する
  3. 朝食で主菜が抜けやすくなっていないかを確認する

主菜の例としては、焼き魚1切れ、鶏肉のソテー、卵料理2品分などが挙げられます。副菜のサラダや汁物の具に少量の肉や魚が入っている程度では主菜1品分としては数えにくいため、皿の中心にまとまった量があるかどうかを基準にすると判断しやすくなります。

手のひらの大きさは体格におおむね比例するため、身長や体重が異なっていても目安として使いやすいという考え方です。グラム換算にこだわらず、続けやすさを優先した方法として活用してください。毎回正確に量る必要はなく、日々のばらつきがあっても大きくずれていなければ問題ないと捉えるくらいの気持ちで取り組むとよいでしょう。

3日間の主菜チェックの進め方

1日単位ではなく、3日程度の単位で振り返ると、日々の食欲の波を吸収しやすいという利点があります。

3日間で朝・昼・夕の9食のうち、何食に主菜があったかを数える運用が一例として考えられます。つわりや外食で崩れた1食を「失敗」として捉えず、3日間の平均で見ることで、無理なく続けやすくなります。振り返りの中で主菜が抜けやすい食事のタイミングが見えてきたら、そこに1品足すという発想に切り替えるとよいでしょう。

手帳やスマートフォンのメモに丸印だけを記録する簡単な方法でも、3日分たまれば自分の傾向を振り返る材料としては十分です。チェックの目的は完璧な記録をつけることではなく、抜けやすいパターンに気づくことにあります。「今週は昼食で主菜が少ない」といった大まかな傾向がつかめれば、それだけで次の食事づくりに活かせます。

h3: 主食を減らすとタンパク質も減る

体重管理のために主食を減らすと、意図せずタンパク質の摂取量も一緒に減ってしまうことがあります。

たんぱく質の摂取源の内訳をみると、肉類・魚介類といった主菜由来の食品だけでなく、穀類からの寄与も無視できない大きさです。公的な調査に基づく摂取源の内訳は、おおよそ次のような構成になります。

  • 穀類 約2割
  • 肉類 約2割
  • 魚介類 約2割
  • 豆類・卵類・乳類 合わせて約2割

穀類が肉類と同程度の寄与を占めている点が、この内訳の要点です。

ごはんやパンを大きく減らすと、主菜を工夫していてもタンパク質全体が不足方向に傾く可能性があるということです。この内訳を踏まえると、体重管理を意識するあまり主食を極端に減らす食べ方は、たんぱく質摂取の観点からは逆効果になりかねないことがわかります。妊娠中の体重増加の目安は妊娠前の体格によって異なるため、自己判断で主食を大きく削るのではなく、主菜と主食のバランスで調整する視点を持つことが大切です。

3日間の主菜チェック表をつけてみると、抜けやすい食事のタイミングが見えてきます。

 

妊娠中におすすめのタンパク質源と選び方

自分の摂取状況を確かめたところで、次は何を食べればよいかという具体的な選び方です。結論として、特定の食材に偏らず、複数のタンパク質源を組み合わせることが基本になります。

本章では、食品群ごとの特徴と、妊娠中に量や加熱で注意したい食品を整理します。

この章のポイント
・肉・魚・卵・大豆・乳製品を組み合わせる
・一部の魚介類・レバー等・非加熱食品に注意
・つわり期は負担の少ない食品に置き換える

肉・魚・卵・大豆・乳製品の組み合わせ

主菜は肉・魚・卵・大豆製品を主な材料とする料理を指し、これらを組み合わせることでタンパク質以外の栄養素も補いやすいという利点があります。

青魚にはDHAやEPAが、畜肉には鉄が、大豆製品には食物繊維が付随しており、素材によって得られる栄養素が異なります。乳製品はカルシウム源としてよく知られていますが、タンパク質とエネルギーの補給源としても役立ちます。特定の食材に偏らず、日替わりで主菜の素材を変えていくという考え方が基本になります。

毎日同じ主菜を繰り返すよりも、1週間の中で肉・魚・卵・大豆製品を一通り登場させることを意識すると、栄養素の偏りを避けられます。たとえば昼食に卵料理、夕食に魚料理というように、1日の中でも種類を変えるだけで、無理なく多様な主菜を取り入れられます。

妊娠中に量と加熱を注意する食品

一部の食品は、量や加熱の仕方に注意が必要です。

レバー等はビタミンAが多く含まれ、過剰に摂取すると先天奇形が増加するとの報告があるため、妊娠を計画している人や妊娠3か月以内の人は大量摂取を避けることが推奨されています。一部の大型魚介類は水銀濃度が比較的高く、摂食量の目安が示されています。

キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロなどは1回約80gとして週1回まで、キダイ、マカジキ、ミナミマグロ、クロムツなどは週2回までが目安です。一方でキハダやビンナガ、ツナ缶などは通常の摂食で差し支えないとされており、魚全般を避ける必要はありません。

生ハムやスモークサーモン、加熱していないナチュラルチーズなどはリステリアの懸念があるため、十分に加熱してから食べることが対策になります。調理の際は中心部までしっかり熱を通すことが基本的な考え方です。

注意が必要な食品を理由と対処法とあわせて整理すると、次のようになります。

注意が必要な食品 注意する理由 目安・対処
キンメダイ・メカジキ等 水銀濃度がやや高い 1回約80gで週1回まで
レバー等 ビタミンA過剰のおそれ 妊娠3か月以内は大量摂取を避ける
非加熱の食肉加工品・チーズ リステリアのおそれ 十分に加熱してから食べる

いずれも「避けるべき食品」というより、量や調理法を工夫すれば取り入れられる食品です。

つわりで食べられない時期の工夫

つわりで主菜がとりづらい時期は、こまめに少量ずつ食べることが基本の対処法です。

つわりの症状は妊娠5〜6週頃から出現し、12週頃には消失していく場合が多いとされます。強いにおいや換気の悪い環境、高温多湿な状況で症状が悪化しやすいという傾向も知られており、換気や温度管理といった環境面の工夫も一つの対処法になります。

主菜がまとまって食べられない日は、乳製品や卵など負担の少ないものに置き換える発想も一例として役立ちます。自炊が難しいときは、市販の蒸し鶏や豆腐、ゆで卵といった調理の手間が少ない食品を活用する方法もあります。

ただし、1週間に2kg前後の体重減少がみられた場合や、尿中ケトン体が陽性となった場合は重症化のおそれがあるため、無理に食べようとせず早めに受診してください。

 

摂りすぎのリスクとプロテインの扱い方

食品の選び方がわかったところで、最後に気をつけたいのが摂りすぎの問題です。結論として、タンパク質は増やせば増やすほどよいというものではありません。

本章では、摂取量と胎児の発育の関係と、プロテインパウダーを使う際の判断基準を整理します。

この章のポイント
・摂取量と発育の関係は直線的ではない
・プロテインは食事を補う位置づけで使う
・持病がある場合は自己判断で増減しない

多く摂るほど良いわけではない

タンパク質の摂取量と胎児の発育の関係は直線的ではなく、摂りすぎもかえって好ましくない可能性が指摘されています。

国内の単胎妊娠の女性を対象とした大規模な前向きコホート研究(子どもの健康と環境に関する全国調査、通称エコチル調査)では、妊娠早期と中期の食事内容をもとに、たんぱく質エネルギー比という指標と出生体重の関係を調べています。

その結果、たんぱく質エネルギー比が12%のときに出生体重が最も高く、在胎週数に対して小さく生まれるリスクが最も低いという、逆U字型の関係が報告されました。この関係は、たんぱく質を脂質に置き換えた場合でも炭水化物に置き換えた場合でも同様に認められています。

実際に、通常より多い量のたんぱく質補給を行った試験群では、在胎週数に対して小さく生まれる割合のリスク比が1.58(1試験505人)とかえって高くなったとの報告もあり、多く摂ることが必ずしも安全とはいえない根拠の一つになっています。

この結果は、食事摂取基準の推奨量を下回ってよいという意味ではなく、推奨量のグラム数を満たしたうえで、極端な高たんぱく質偏重にしないことが要点だと理解しておく必要があります。

プロテインパウダーを使う判断基準

プロテインパウダーは、食事だけでは不足する分を補う位置づけであり、食事の代わりにはなりません。

利用する場合は、成分表示を確認し、ビタミンAなど過剰摂取が問題になりうる成分が上乗せされていないかを見ておくとよいでしょう。妊娠中に使ってよいかどうかは自己判断ではなく、産科の主治医や管理栄養士に確認することが前提になります。

市販のプロテインパウダーには風味や原材料が異なる複数の種類があり、妊娠中に適しているかどうかは製品ごとに違うため、パッケージの表示だけで判断せず、迷ったときは持参して相談すると確実です。小分けパックや溶けやすいタイプなど、つわりや食欲不振で食事量が落ちている時期の一時的な補助として活用する例も見られますが、あくまで食事を補う位置づけである点は変わりません。

持病や妊娠合併症がある場合の注意

腎機能に不安がある場合、妊娠高血圧症候群と診断されている場合、食物アレルギーがある場合は、自己判断でタンパク質量を増減しないことが基本です。

これらの持病がある場合は、一般的な食事摂取基準の目安がそのまま当てはまらず、症状や検査値に応じて個別の食事指導が必要になることがあります。かかりつけの産科と連携した管理栄養士の指導を受けられる医療機関もあるため、健診の際に相談してみるとよいでしょう。

とくに妊娠高血圧症候群と診断されている場合は、たんぱく質の摂取量そのものよりも、食事全体の塩分やエネルギーバランスの管理が優先されることが多く、自己流の食事制限はかえって栄養不足を招く可能性があります。妊娠悪阻でほとんど食事がとれない場合は、栄養補給の方法自体が医療管理の対象になります。

妊娠中の栄養管理について迷ったときの第一の相談先は、産科の主治医と管理栄養士です。体調や検査値は妊娠週数とともに変化するため、一度相談して終わりにせず、気になる変化があるたびに確認する姿勢が安心につながります。そのうえで、妊娠前からの体づくりや産後を含めた生活習慣全体について相談したい場合は、ウェルビーイングの観点から話を聞ける窓口を利用するという選択肢もあります。

プロテインの利用を検討している場合は、次の妊婦健診で主治医に相談してみてください。

 

まとめ

妊婦に必要なタンパク質量は、妊娠初期50g、中期55g、後期75gが目安です。この数値を暗記するよりも、毎食の主菜を数える習慣、主食を極端に減らさないこと、増やしすぎないことという3つの行動に落とし込むほうが、日々の負担が少なく実践しやすいはずです。

つわりで食べられない時期や、持病・妊娠合併症がある場合の栄養管理については、産科の主治医と管理栄養士が第一の相談先になります。数値の管理だけにとらわれず、無理なく続けられる形を見つけていただければと思います。今日の食事から主菜を1品意識してみることが、時期別の目安を実践する最初の一歩になります。

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参考文献・出典

  • 日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書(厚生労働省、2025年)
  • 令和6年国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省、2025年公表。20〜30歳代女性のやせの割合16.6%、健康日本21第三次の目標値15%)
  • 国民健康・栄養調査 食品群別たんぱく質摂取量(厚生労働省)
  • 妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針 解説要領(厚生労働省、2021年)
  • 妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項(薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会、2010年)
  • 母性健康管理に関する用語辞典「つわり」(厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト)
  • Optimal protein intake during pregnancy for reducing the risk of fetal growth restriction: the Japan Environment and Children’s Study(Morisaki Nほか、British Journal of Nutrition、2018年。たんぱく質エネルギー比12%で出生体重が最大・SGAリスクが最小となる逆U字型の関係)
  • Antenatal dietary education and supplementation to increase energy and protein intake(Ota Eほか、Cochrane Database of Systematic Reviews、2015年)

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